国際自然保護連合(IUCN)によれば、過去500年間で約900種の生物が絶滅している。しかし悲しいことに、この数字は過小評価である可能性が高い。この数字は、確かな絶滅の証拠がある種のみを反映した数字だからだ。実際の絶滅数は、それよりはるかに多いだろう。
なかでも深刻な打撃を被っているのが、飛べない鳥類だ。特に、小さな島のような、地理的に制限された地域に生息していた種への影響は大きい。
その典型例が、インド洋のモーリシャス島に住んでいたドードーだ。ドードーは16世紀末に人間が到来するまで、この島で繁栄していた。しかし、乱獲されたほか、新たな捕食者が島へ持ち込まれたことで、ドードーの運命は決まった。17世紀の終わりまでに、この鳥は絶滅した。
つまり人類は、100年と経たないうちに、この種を地上から完全に消し去ったのだ。
その他、ドードーと同様の運命をたどった飛べない鳥には、以下の種類が含まれる。
・モア(ニュージーランド):モアは、ニュージーランドに生息していた大型の飛べない鳥だ。体高は、最大で約3.6mに達した。狩猟と生息地破壊により絶滅に追い込まれ、最後の種は西暦1400年頃に姿を消した。おそらく人間の活動が原因だ。
・オオウミガラス(北大西洋):オオウミガラスは、北大西洋に生息していた飛べない海鳥だ。白黒の羽色と、優れた泳ぎの能力で知られた。羽毛、卵、肉を求めて乱獲され、最後の個体は1844年に殺された。
・エレファントバード(マダガスカル):アフリカのマダガスカル島に生息していたエレファントバードは、体高が約3mに達した史上最大級の鳥だ。この飛べない鳥は、狩猟と生息地破壊によって追い込まれ、おそらく17世紀にはすでに絶滅していた。
遺伝子解析によれば、ドードーに最も近い種は、ロドリゲス島に生息していたロドリゲスドードーで、こちらもすでに絶滅している(ロドリゲス島は、モーリシャス島から東に560km離れた島だ)。
また、現生の鳥のなかでは、遺伝子解析の結果として最も近縁な系統樹とされるのはミノバト属だ。この属のうち唯一現生するミノバトは、インドに近いニコバル諸島などに生息している。
以下に、彼らの物語を紹介し、一方が生き残り、他方が絶滅した理由に関する生物学的な考察を説明しよう。



