ビリオネアの驚異的な長寿、その秘訣を探る
90歳以上の米国のビリオネアは、過去最多の36人にのぼっている。加えて、80歳代のビリオネアも150人いる。その中には元ビクトリアズ・シークレットCEOのレス・ウェクスナー、元ニューヨーク市長でブルームバーグ共同創業者のマイケル・ブルームバーグも含まれている。米国疾病対策センター(CDC)によれば、米国人全体の平均寿命は78.4歳、ビリオネアの大半を占める男性の平均寿命が75.8歳であることを考えると、これは驚くべきことだ。
80歳以上の割合は一般人の5倍超、統計が示す優位性
2020年の米国勢調査データによると、米国全体で80歳以上の人はわずか3.8%に過ぎない。これに対し、フォーブスがまとめた米国のビリオネアリストの20%が80歳を超えている。なぜこれらの富豪は一般の米国人よりも80歳を超えて生きる割合が大きいのか。その理由はいくつも考えられる。裕福な人々は最高の医療やパーソナルトレーナーにアクセスできる。また、健康的な食生活を送れることも理由の1つかもしれない。
102歳で逝去したデービッド・マードックが信じた食生活の力
6月に102歳で亡くなったデービッド・マードック。野菜や果物の生産・販売を手掛ける米ドールの創業者で元CEOだった彼は、自らがなぜこれほど長く健康に生きられたのかを理解していた。世界最大級の食品会社の経営を率いた彼は、植物中心の食事を強く支持し、果物(バナナやオレンジの皮も含む)と野菜、魚だけを食べていた。彼は公の場で「125歳まで生きることを目標にしている」と語っていた。
マードックは、長寿研究に多額の寄付を行い、ノースカロライナ州カナポリスにあるノースカロライナ・リサーチ・キャンパスの設立を支援した。敷地面積が140万平方メートルのこの研究所は、栄養を通じて人間の健康を改善する方法を探求している。「私たちは脳ではなく味覚で食べるという文化をつくり上げてしまった」とマードックは90歳のときにフォーブスに語っていた。
チャールズ・コーク(89)を研ぎ澄ませているのは、フルタイムの仕事
他のビリオネアにとっての「長寿の秘訣」を探るため、フォーブスはそれぞれ30人以上の90代と80代のビリオネアに取材を試みた。大半は回答を拒否するか応じなかったが、答えてくれた1人がチャールズ・コークだ。89歳の彼はいまも、売上高で米国2位の非上場企業である多角的コングロマリット、コークインダストリーズの会長兼共同CEOとして活発に活動している。
コークによれば、心身を毎日鍛えることが「最優先事項」だという。彼は、徹底的な読書や執筆を行い、さらに毎日1時間から1時間半の筋力トレーニングと有酸素運動を欠かさないという。彼は、2023年のフォーブスの取材で、フルタイムの仕事に就いて、複雑な問題を解決しようと努力することが自分を研ぎ澄ませているのだと説明した。また、彼はこうも語っていた。
「私が会員になっているパームスプリングスのクラブには、毎朝9ホールを回って昼食をとり、午後はずっとカードゲームに興じている引退した友人たちがいる。もし私がそんな生活をしたら、自分で自分の頭を撃ち抜くだろう」。
週7日労働で貫く生涯現役の仕事観
株式取引のパイオニア、ジョー・リケッツも「生涯現役」の考えを持ち、84歳の今も「週7日労働を続けている」と語る。実業家のデニス・ワシントンは子どもの頃にポリオを患ったが、高校を卒業するとすぐに大型クレーンの操縦を始め、その後3万ドル(約444万円)の融資をもとに事業を立ち上げた。彼は91歳になった現在も、建設機械や銅の採掘、海運にわたる企業群の経営に深く関与し続けている
「私の願いは、人々に『彼はアメリカンドリームを生きた』と言ってもらえることだ」とワシントンは語り、自らの人生を「どん底から財を成した物語」と表現する。ただし、ワシントンは自身の長寿を働きぶりや運動習慣のおかげだとは断言しない。なぜこんなに長く健康でいられるのかと問われると、「それは神のみぞ知るだ!」と冗談めかして答えた。


