北米

2025.09.02 10:00

「銀行データアクセス」巡る米フィンテックとJPモルガンの対立、訴訟に発展か

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)

米金融大手JPモルガン・チェースが一部のフィンテック企業に課そうとしている新たな高額な手数料は、最終的に消費者に転嫁される可能性が高いと複数のフィンテック企業のCEOがフォーブスに話している。

2カ月前、JPモルガンはフィンテックのアプリと消費者の銀行口座をつなぐソフトを提供するPlaidなどのデータアグリゲーターに対し、これまで無料だった銀行データへのアクセスに新たな手数料を導入すると通知した。同社はその際、新たな手数料の適用を60日後に開始すると通知しており、発効は目前に迫っている。JPモルガンの広報担当ドリュー・プサテリは、アグリゲーターとの交渉はまだ続いていると述べたが、2カ月にわたる協議を経た今も合意は発表されていない。

フォーブスが話を聞いた個人の資産管理や投資向けアプリを運営するフィンテック企業のCEOたちは、アグリゲーターが手数料を顧客企業に転嫁すると見込んでおり、それにより自社のコストが上昇すると懸念している。そのため彼らは、消費者向けの価格を引き上げるか、無料機能の廃止を検討している。Plaidの広報担当フレヤ・ピーターセンは、データアクセス手数料を顧客に転嫁するかどうかについてのコメントを控えた。

人気の個人資産管理アプリRocket Moneyは、利用者の定期支出や単発の支出を一覧表示して、消費行動を可視化するサービスを提供するほか、月額料金を支払えば、不要なサブスクリプションの解約を代行する機能も備えている。400万人の有料会員を抱えるRocket Moneyは、顧客の銀行口座に接続して支出データを取得するためにPlaidを利用している。同アプリの共同創業者でCEOのハルーン・モクタルザダは、JPモルガンの新たな手数料の負担が、最終的に顧客に転嫁されると見ており、その場合は現在月額平均8〜9ドル(約1180円〜1320円)を支払う会員に請求する料金の値上げを検討している。「最終的に負担するのは消費者だ。物事はいつもそうなる」と彼は語った。

Rocket Moneyはまた、数百万人の無料版ユーザーも抱えている。この無料版は、利用者が自分の支出習慣を閲覧できるが、モクタルザダは、データアグリゲーターへの支出が大幅に増えれば、この機能を有料化するか、廃止せざるを得なくなると述べている。

サンフランシスコに拠点を置くスタートアップMonarch Moneyも、顧客の支出パターンを表示する50万人以上の有料会員を抱えるアプリを展開中だ。同社もPlaidを多用しており、同社にとって毎月最大の支払先がPlaidだという。Monarch Moneyの共同創業者でCEOのヴァル・アゴスティーノは、JPモルガンの新たな手数料が少ない額にとどまるのであれば、「おそらく自社で吸収するだろう」と語る一方で、「もし高額であれば、顧客に転嫁せざるを得なくなる」と語った。

金融エコシステムを「後退させる」との批判

銀行がフィンテックアプリを通じた利用者の財務状況の把握を妨げるような試みは、「根本的には自らの顧客に不便を強いることになる」と、アゴスティーノは指摘する。「業界全体がこの流れに追随するのであれば、この国の金融エコシステムは昔に逆戻りしていると思う」と彼は語った。

投資アプリのBettermentもPlaidを利用しているが、同社のCEOのサラ・レヴィも同様の見解を示している。「もしコストが上がれば、当社も値上げを強いられる」と彼女は語った。しかし、ChimeやPayPallのような他のフィンテックのアプリは、JPモルガンの手数料が事業に影響を与えるとは見込んでいないと述べている。

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編集=上田裕資

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