北米

2025.09.02 10:00

「銀行データアクセス」巡る米フィンテックとJPモルガンの対立、訴訟に発展か

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)

JPモルガンの広報担当プサテリは、同社がこれまでも常にデータアクセスに対して手数料を課す権利を持っていたと述べている。「データ仲介業者は、無制限かつ無料でアクセスできる仕組みを求め、そのデータを転売し、しかもそれが永遠に続くことを望んでいる。しかし、その仕組みは機能しておらず、顧客データの過剰利用や関連する不正請求の増加、さらにJPモルガンにとって劇的なコスト増を招いてきたのだ」と彼は語った。

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さらに彼は、アグリゲーターがユーザーが想定する以上に頻繁にデータを収集していると指摘し、過去1年間でJPモルガンが約5000万ドル(約73億6000万円)相当のアグリゲーターが関与した送金に起因する不正請求を受けたと述べた。プサテリはまた、アグリゲーターが自社ソフトの仕組みを調整することで、データアクセス手数料に大きな変化を起こすことが可能だとも語った。

銀行データへのアクセスは「消費者の権利」との主張

Plaidの広報担当フレヤ・ピーターセンはメールでの声明で、「データアクセスは銀行がフィンテック企業に与える贈り物ではなく、消費者が持つ権利だ。消費者が自分の金融履歴にアクセスするのに料金を払うべきだという発想は、後退を意味する」と語った。

彼女はまた、Plaidが銀行との間で何年もデータアクセスに関する合意を結んできたと指摘した上で、「今になって規制があいまいな時期に、米国で最大かつ最も成功している銀行が新たな制限を加えようとしている」と付け加えた

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ピーターセンはまた、Plaidが「市場で最も先進的な不正防止インフラを構築しており、もし銀行が不正対策で苦しんでいるのであれば、私たちは彼らがセキュリティ基準を改善し、より効果的に不正と戦えるよう喜んで支援する」とも述べた。

米消費者金融保護局(CFPB)は先日、データアグリゲーターの手数料や消費者の銀行データへのアクセスを規定するための、物議を醸した連邦規制「1033条」の改正に向けた最初の一歩を踏み出した。トランプ政権は先月、2024年末にバイデン前政権が最終決定したこの規則を改正すると発表した。CFPBは現在、データアクセス手数料を課すべきかどうか、また課す場合に上限を設けるべきかなどのテーマについて、銀行やフィンテック企業からの意見を募っている。

JPモルガンを相手取る訴訟に発展の可能性

ここでひとつ残る大きな疑問は、JPモルガンが2カ月前に提案した手数料水準をどのように算出したのかだ。2023年末にバイデン政権が現行の1033条規制を策定する過程で、銀行やフィンテック企業が提出したコメントが、その背景を示している。各社の回答によれば、銀行がデータ接続を運用するコストは年間200万ドルから4700万ドル(約2億9400万円〜69億2000万円)で、中央値は2100万ドル(約30億9000万円)だった。ここに年間5000万ドル(約73億6000万円)の不正請求を加えたとしても、総コストは1億ドル(約147億円)を超えないが、この額は2カ月前にJPモルガンが提示した手数料水準とは大きな隔たりがある。事情に詳しい人物によると、その手数料はPlaidのようなアグリゲーターに年間推定3億ドル(約442億円)の負担を課す内容だったという。

JPモルガンは、手数料をどのように決定したのかについて具体的なコメントを控えており、多くのフィンテックCEOは同社の狙いや動機を推測するしかない状況だ。Rocket Moneyのモクタルザダはこう語る。

「もしJPモルガンが『正確なコストを算出して、その分だけを転嫁する』と言ったのなら、大きな問題にならないと思う。だが、実際はそうなってはいないのだ」

業界関係者によれば、アグリゲーターとフィンテック企業が交渉で合意に至らなければ、最後の手段はJPモルガンに対する訴訟になる可能性が高いという。その訴訟を起こすのはフィンテック企業やフィンテック業界団体、さらには州司法長官事務所になる可能性がある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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