AI

2025.09.02 10:30

グーグルの「Pixel 10」が先導する、「オンデバイスAI」の進化と課題

Google Pixel 10 Pro(Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images)

Google Pixel 10 Pro(Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images)

グーグルが8月に発表した「Pixel 10」シリーズは、人工知能(AI)の開発と競争の最前線が、大規模言語モデル(LLM)からAI搭載デバイスに移行したことを示す。この変化は、Tensor G5チップと、オンデバイスAI「Gemini Nano」によって可能になったもので、単体のサービスとしてAIを提供するのではなく、ありふれた個人的なデバイスに溶け込ませて統合するという、業界全体のトレンドの象徴となった。

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この流れは、スマートフォンだけでなく、イヤホン、時計、メガネといったウェアラブルにも波及している。それが示す未来は、物理的な個人向けガジェットにおいて、利用者およびその場の状況、前後関係(コンテクスト)を踏まえてAIが動作するというものだ。AIが常に利用者のそばに存在し、能動的な操作を必要とせずにニーズを理解する「アンビエントインテリジェンス(環境知能)」に進化していく過程といえる。

グーグルがPixel 10で提示した、オンデバイスAIの現実的なメリット

Pixel 10の機能は、オンデバイスAIの現実的なメリットを提示している。新たなAIシステムの「マジックサジェスト(Magic Cue)」はアプリ全体の活動をクラウドに依存せずに分析する。メール、スクリーンショット、メモの情報を結びつけて利用者の状況に沿った提案を行う。「カメラコーチ(Camera Coach)」はGeminiによるシーン分析を用いてリアルタイムで撮影アドバイスを提供する。「マイボイス通訳(Voice Translate)」は通話を同時翻訳し、話者の自然な声質を保ったまま端末内で処理する。

こうした機能は、Pixel Watch 4の「エナジースコア」、Pixel Buds Pro 2の「アダプティブ オーディオ」を含むグーグルの製品エコシステム全体に広がっており、すべてがオンデバイスAIによって支えられている。

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アップル、サムスンなどスマホメーカーが競い合うAI搭載機能

世界各国のスマートフォンメーカーはオンデバイスAIの開発競争を繰り広げている。アップルはiOS 26で、通話やメッセージのライブ翻訳、画像解析機能を導入予定だ。ファーウェイおよびシャオミも、リアルタイムAI翻訳、AI動画、AIレコーダー、AIによるジェスチャー認識を用いた写真転送機能をフラッグシップ機に統合しており、半導体開発に多額の投資を行っている。同様にサムスンも、音声の文字起こし、要約、動画・画像編集におけるオンデバイスAI最適化のため、チップメーカーと協力中だ。こうした動きは、業界全体がオンデバイスAIへ移行していることを示す。

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編集=上田裕資

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