AI

2025.09.02 10:30

グーグルの「Pixel 10」が先導する、「オンデバイスAI」の進化と課題

Google Pixel 10 Pro(Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images)

メタのAIメガネ「RayBan」の販売拡大と新興企業の台頭

AIを搭載したスマートフォン、メガネ、スマートウォッチなど複数デバイスの連携は、AIが私たちの周囲の環境に組み込まれる未来を指し示している。この仕組みは、ユーザーの意図を理解したAIが状況を意識して行動し、ユーザーの手間を最小限に抑えることを重視している。

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AIメガネはリアルタイム翻訳や地図情報を物理空間に重ね合わせて表示し、AI搭載のスマートウォッチは健康データを監視し、個人に最適化されたレコメンドを行う。このような機能には、ニューラルプロセッシングユニット(NPU)や、グーグルのTensor G5、クアルコムのSnapdragonプラットフォームのようなテンソル演算に最適化されたチップなど、効率的なオンデバイスAIを可能にする特殊なハードウェアアーキテクチャが必要とされる。

メタの「Ray-Ban Metaスマートグラス」は、マルチモーダルAIを活用して視覚情報と聴覚情報を処理し、コンテキストに応じた質問・指示、ハンズフリーでのコンテンツ作成を可能にする。販売台数は200万台を突破した。2026年までに年間1000万台の生産を目標とし、市場の受容拡大がうかがえる。また、メタがOakleyとの提携で発売した「Oakley Meta HSTN」はスポーツユーザーを対象にしており、リアルタイム環境分析機能などを備えている。XREALやVITUREといったスタートアップは、生産性向上やエンタメ用途に向けた高精細な拡張現実(AR)ディスプレイに注力しており、従来の画面ベースのインターフェースに代わる洗練された体験を生み出している。

ロボティクス分野での活用

AIハードウェアの開発には、特殊な素材、サプライチェーン、製造プロセスが関わる。これが既存大手や専門メーカーに新たな機会を生み出している。オンデバイスAIのもう1つの重要分野であるロボティクスでの活用も、この変革を端的に示している。ボストン・ダイナミクス、1X、宇樹科技(ユニツリー)といった企業は、産業検査の支援、製造工場の監視、物流、倉庫管理、救助活動、家事支援などに役立つロボットシステムを開発している。これらのシステムは、高度な機械工学とローカル処理能力の組み合わせで、複雑な環境下で自律的に稼働するロボットを実現している。

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雇用と新ビジネスに与える影響も

エヌビディア、メタ、テンセントが取り組む世界基盤モデルの登場は、次世代ロボティクスがこれまでにない環境の理解力と適応力を備えることを示唆している。この進展は労働市場を再構築し、一部の肉体労働や知的作業を置き換える可能性がある一方、ロボットの保守、プログラミング、システム統合といった新職種が生まれる可能性もある。経済的な影響は雇用にとどまらず、「ロボティクス・アズ・ア・サービス」や適応型製造システム(adaptive manufacturing systems)といったまったく新しいビジネスモデルの創出にも及ぶことになる。

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編集=上田裕資

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