トランプ関税は今後どれだけの収入を生むか?
8月初旬、スコット・ベッセント財務長官はMSNBCによるインタビューの中で、関税収入は年間3000億ドル(約44兆900億円)に達すると予測し、「2026年にはさらに増える可能性がある」と述べた。
また、シンクタンクのThe Tax Foundationの推計によれば、トランプ関税は今後10年間で米国に約2兆5000億ドル(約367兆円)をもたらすとされている。ただし、その一方で、関税は平均的な世帯の税負担と日用品価格を2025年に約1300ドル(約19万1000円)、2026年には1700ドル(約24万9800円)引き上げるとも予想されている。
また、米国連邦議会上下院の元議員らが超党派で構成する「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は、関税が続く場合、その米国GDPへの寄与額は2034会計年度までに2兆8000億ドル(約411兆円)にのぼると予測している。
トランプ関税はインフレに影響したか?
7月のインフレ率は予想を下回る2.7%となったが、食品とエネルギーを除いたコア消費者物価は前年同月比で3.1%上昇し、1月に記録した今年の高水準に並んだ。これはトランプ関税が物価を押し上げた結果であるとも見られ、一部の経済学者は年末にかけてインフレがさらに進行する可能性を警告している。
JPモルガン・チェースの米国チーフエコノミスト、マイケル・フェローリは今年初めのメモで、トランプ関税は「消費者物価を大幅に押し上げ、インフレを高めるだろう」と主張した。連邦準備制度(FRB)のジェローム・パウエル議長も7月、「米国経済は堅調な状況にある」としつつも、関税が経済とインフレに与える影響は「まだ見極める必要がある」と述べている。
トランプは7月、関税収入を基にした還付金について「検討する」と述べた。トランプが還付金に関心を示した後、それを受けた共和党のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州選出)はその関連法案を提出している。
同法案では、2025年中に各成人と扶養児童に少なくとも600ドル(約8万8200円)を支給するとされている。関税収入額が予想を上回るものであれば、さらに大きな還付が行われる可能性もある。また、同法案の草案によれば、夫婦合算の課税所得が15万ドル(約2200万円)を超える世帯、所得が11万2500ドル(約1650万円)を超える世帯主、そして所得が7万5000ドル(約1100万円)を超える独身者に対しては、還付額が5%減額され約570ドル(約8万3800円)になるとされている。同法案はまだ審議されていない。


