北米

2025.09.01 08:00

トランプは「数兆ドル」の関税収入を得たと主張、実際の数字は?

Chip Somodevilla/Getty Images

Chip Somodevilla/Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領は米国時間8月31日、彼が課した関税(その多くは控訴裁判所によって違法と判断された)が同国に「数兆ドル」の歳入をもたらしたと発言した。しかしそれは、一部の経済学者が今後10年間における関税収入額の推計として示した数字に近いものであり、今年これまでの収入額ではない。

「関税、そしてすでに我々が得ている数兆ドルがなければ、我が国は完全に破壊され、軍事力も即座に消滅していただろう」とトランプはトゥルース・ソーシャルに書き込んだ

トランプは8月初旬にも「関税によって数兆ドルを得た」と主張し、彼の課した関税が「インフレも、米国におけるその他の問題も引き起こしておらず、大量の現金が財務省の金庫に流れ込んでいるだけだ」と述べていた。

しかし、関税は外国製品を輸入する米国企業が支払うものであり、そのコストは最終的に米国の消費者が負担することになるが、トランプはそのことには言及していない。

この関税についての最新の発言は、米国の控訴裁判所が29日遅くに出した判決を受けてのものだ。この判決で裁判所は、トランプが相互関税を発動したのは権限を逸脱した行為だと指摘し、その権限は、議会に対して「排他的に」与えられた「核心的な権限」であるとした。

この判決による関税禁止は10月14日まで発効せず、その間にトランプ政権は最高裁に上訴する時間が与えられる。

米国はトランプ関税でどれだけの収入を得たか?

財務省が8月初旬に公表したデータによると、米国は今年9月を期末とする会計年度において、これまでに1420億ドル(約20兆8700億円)の関税収入を得ている。トランプの関税が4月に発効して以来の課税による収入は約960億ドル(約14兆1000億円)に達した。7月には関税収入が280億ドル(約4兆1200億円)に急増し、前年比273%の増加となった。

その他の月における関税収入は、6月は270億ドル(約3兆9700億円)、5月は220億ドル(約3兆2300億円)、4月は160億ドル(約2兆3500億円)だった。また、トランプの関税が発表される前の3月には80億ドル(約1兆1800億円)、2月と1月はいずれも70億ドル(約1兆300億円)だった。

関税とは、国際貿易において輸入業者が支払う税金のことである。つまり米国内の企業や個人が、商品を輸入する際に課税される。こうしたコストは企業が価格を調整する過程で消費者が負担することが多い。

次ページ > トランプ関税は今後どれだけの収入を生むか?

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事