今後の展開は
リールらはメッセージが確実に議員たちに届くよう、異例の措置を講じている。書簡を印刷したものを内容証明郵便で送付し、これに書簡の全文と署名へのリンクを記したカードを同封。さらに、科学者たちが主要な議員に直接呼びかける動画も配信した。
だが、著名な顔ぶれの署名が連なっているにもかかわらず、政界の反応はこれまでのところ薄い。米国立科学財団(NSF)の資金を監督する下院歳出委員会の商務・司法・科学関連機関小委員会で筆頭委員を務めるグレース・メン議員(ニューヨーク州選出)は、書簡に同意し支持を表明したが、これ以外に表立った動きは見られない。
また、議会では分裂が浮き彫りとなっている。上院は米国立衛生研究所(NIH)の予算の小幅増額を認めているが、一方で下院は大幅な削減を迫っている。
迫る決断のとき
2026年度の科学予算の命運は、今後数週間のうちに決まる。次の連邦会計年度は10月1日に始まる。リールにとって、事の重大さはこれ以上ないほど明白だ。「上下両院の議員たちが、この問題を何よりも深刻なものと受け止めてくれることを願っている。これは政治ではない。米国の経済成長の原動力を左右する問題だ。政府が研究に資金を提供することにより、国民全員が恩恵を得られるのだ」
議会が米国で最も栄えある科学者たちの声に耳を傾けるかは、現時点で不透明だ。はっきりしているのは、議会の対応が今後数十年間に及ぶ米国の科学と経済の先行きを決めるということである。


