筆者は、初めてAIプラットフォームに重大な意思決定の助言を求めたときのことを、今でも鮮明に覚えている。グーグルのように多くのリンクが羅列されると想像していたが、予想に反してAIは具体的なベンダー名を挙げ、その選定理由を明快に示した。その瞬間、従来の調査や意思決定のあり方が大きく変わりつつあることを実感した。
テクノロジー分野に特化したPR・マーケティング会社ボスパールの最新調査は、この変化が現実のものであり、その主導者が若手社員ではなく経営陣であることを鮮明に示している。調査結果によれば、経営陣の94%がAIを活用しているのに対し、意思決定権の限られた従業員は49%にとどまり、その差は実に2倍に達している。
さらに注目すべきは、意思決定者の84%がAIの推奨に基づいて購買判断を下した経験を持つ点だ。では、なぜ経営陣は他の従業員に比べ、約2倍の割合でAIを受け入れているのか。その背景には、5つの主要な要因がある。
理由1:経営陣はAI、ChatGPTを意思決定の指針として信頼している
経営陣は、AIを生産性向上の手段にとどめず、数百万ドル規模の購買判断にも活用している。実際、大企業では経営陣の67.5%が、ベンダー選定に向けた包括的なAI戦略を既に構築している。
この変化は、AIがもはやバックオフィス向けのツールにとどまらず、最前線の意思決定者として機能していることを示している。経営陣は、AIをリスク評価からROIの予測に至るまであらゆる判断に活用しており、競争優位性の確立におけるAIの重要性をますます強く認識している。このことは、戦略的意思決定にAIを組み込めない者は、遅れを取るリスクを負うことを意味する。
ボスパールのプリンシパル兼共同創業者であるカーティス・スパラーはこう語る。「大きな予算を握る経営陣は、AIプラットフォームに対してどのベンダーを検討すべきか尋ねている。ただし、AIが生成するのは独自の答えではなく、信頼できる情報源からの引用に過ぎない。そこに自社ではなく競合が表示されたとすれば、それはつまり、経営陣が信頼する媒体において競合の方が高く評価されていることを意味する」。



