3. アンティークの羽ペンに似たウミエラ
ウミエラは、ウミエラ目(Pennatulacea)に属する群体性の刺胞動物だ。英語で「Sea pen(海のペン)」と呼ばれるのは、軟らかい砂泥に体を固定している姿が、アンティーク風の羽ペンに見えるためだ(和名のウミエラは、漢字で書くと「海鰓」)。
潮間帯の浅瀬から、水深2000メートルを超える深海など、世界各地に生息している。ふくれた形状の柄部(へいぶ)から伸びる特殊なポリプ(刺胞動物がもつ、固着するための身体構造)で体を固定している。
ウミエラは濾過摂食者で、主に2種類のポリプに依存している。1つは通常ポリプ(autozooid)で、プランクトンや微小粒子を捕まえるための刺胞がついている。もう1つは管状ポリプ(siphonozooid)で、群体内の管を通じて水を引き込み、摂食と呼吸を促す。ごく微小なプランクトンを捕食し、流れに対して垂直な姿勢をとって、できるだけ多く摂取できるようにして、海流の恵みを受けている。
ウミエラ目は古代から存在し、化石はカンブリア紀のバージェス頁岩までさかのぼる。遺伝子解析では、ウミエラの特性は、生息地の深さと基質の種類に応じて収斂進化を遂げたことが示されている。
ウミエラは、敵を察知すると生物発光する。緑がかった光を放って、ヒトデやウミウシといった捕食者を驚かせるのだ。また、柄部のなかにすばやく体を引っ込めたり、場合によっては切り離してから再び固定したりして、窮地を逃れることもある。
オレンジ・シーペン(学名:Ptilosarcus gurneyi)など一部の種については、捕食者に応じて一定の防衛行動をとることが判明している。例えば、特定のヒトデから攻撃されたときには、柄部にすばやく身を隠したり発光したりするという。


