これは、それぞれ男子選手6人で構成される「チーム・ヨーロッパ」と「チーム・ワールド」の対抗戦で、2017年から毎年開催されている。レーバーカップはいまやATPツアー公式戦の一つで、有名選手が続々と参加するようになり、着実に収益を上げている。「Sports Business Journal」によると、黒字にならなかった唯一の例外は、インフラ整備を行なった2023年だけだという。2025年大会は、9月に米サンフランシスコで開催される予定で、スポンサー収入とチケット/ホスピタリティの合計で2000万ドル(約29億4000万円)以上の売上が見込まれている。
フェデラーは近く、さらなる成功を手にするかもしれない。プラントベース(植物由来)食品を開発する南米チリのフードテック「NotCo」が2021年に、シリーズDラウンドで2億3500万ドル(約345億円)を調達したが、その出資者の一人となったのだ。
この出資にはほかにも、F1ドライバーのルイス・ハミルトンや、米ヒップホップグループ「ザ・ルーツ」のドラマー、クエストラブといった著名投資家が参加した。NotCoの評価額は15億ドル(約2205億円)だった。NotCoはその1年後にもさらに7000万ドル(約102億9000万円)を調達し、自社のAIツールを、他の食品メーカーにライセンス供与するためのB2B事業を立ち上げた。
とはいえ、フェデラーにはじっくり待つ余裕がある。現役時代から契約している企業は十数社あり、プライベートジェット企業「NetJets(ネットジェッツ)」やメガネブランド「Oliver Peoples(オリバー・ピープルズ)」、スイスの金融サービス会社UBSなどとの仕事がある(UBSは2023年、フェデラーのスポンサーだった金融大手Credit Suisseを買収した)。
広告主に言わせれば、フェデラーの強みは、今でもほぼどんなテニス選手よりも人気が高いことだ。マーケティング代理店「Two Circles(ツゥー・サークルズ)」によると、フェデラーのフォロワー数はフェイスブック、インスタグラム、X(旧Twitter)合わせて4350万人で、ラファエル・ナダル(5160万人)に次いで2位だという。一方、これらのソーシャルメディアプラットフォームにおけるフェデラーの過去3年のエンゲージメント率は2.3%で、ジョコビッチ(1.2%)のほぼ2倍、ナダル(0.5%)の4倍以上だ。
ジョージ・ワシントン大学のネイロッティは、フェデラーの広告塔としての価値について、「長続きすると思う」と話す。「フェデラーはこの状態を長く維持していけるだろう」
追加取材:Brett Knight、Matt Craig


