現役時代にキャリア通算の収入が10億ドル(税引き前)を超えたアスリートは7人しかおらず、フェデラーはその一人だ。彼以外には、NBA「ロサンゼルス・レイカーズ」のレブロン・ジェームズ、プロゴルファーのタイガー・ウッズとフィル・ミケルソン、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシ、プロボクサーのフロイド・メイウェザーがいる。
さらにフェデラーは、同じようにごく限られた面々しか入ることのできない集団の一員にもなった。資産額が10億ドルを超える「スリー・カンマ・クラブ」の仲間入りを果たしたのだ。このクラブのアスリート出身メンバーは、フェデラーを入れて7人しかいない。
最初の1人は、同じくテニス選手のイオン・ティリアックだ。1970年の全仏オープン男子ダブルスで優勝したほか、1964年冬季オリンピックには、祖国ルーマニア代表としてアイスホッケーにも出場した。ティリアックは、ルーマニアの共産主義政権が崩壊した後に投資を始め、2007年にフォーブスのビリオネアランキング(世界長者番付)に初めてランクインした。不動産や自動車販売代理店、金融サービスの分野で築いた純資産額は推定で23億ドル(約3380億円)だ。
ティリアックの次は、2014年にバスケットボール殿堂入りを果たしたマイケル・ジョーダンで、現在の資産額は推定38億ドル(約5585億円)。さらに、「ロサンゼルス・レイカーズ」で活躍したマジック・ジョンソンが推定資産額15億ドル(約2205億円)で続く。
NBA「ミルウォーキー・バックス」のシックスマン(スターティングメンバ―に次いで重要な控え選手)だったジュニア・ブリッジマンは、2025年3月11日にこの世を去った時点での資産額が推定14億ドル(約2058億円)だった。残りの2人は、現役中にスリー・カンマ・クラブ入りした唯一のアスリートであるレブロン・ジェームズ(推定資産額12億ドル:約1764億円)とタイガー・ウッズ(同13億ドル:約1911億円)だ。
フェデラーがそもそもビジネス分野で成功したのは、彼が広告塔として魅力的だったからだ。菓子メーカー「Lindt(リンツ)」、自動車メーカー「Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)」、時計ブランド「Rolex(ロレックス)」、シャンパン製造会社「Moët & Chandon(モエ・エ・シャンドン)」など、長年かけて慎重に構築してきたスポンサー陣によって、フェデラーといえばラグジュアリーブランドと思われるようになった。そのイメージは、彼の華麗なプレースタイル、ならびに非の打ちどころのない評判と見事にマッチしている。


