理想と現実のギャップを実体験が証明
車での移動中に被災した場合の対応については、「安全な場所に車を停め、徒歩で避難する」が53.7%で最多となり、「車内に留まり、情報収集や待機をする」(13.5%)、「そのまま車で移動して避難行動を続ける」(8.9%)を大きく上回った。「よくわからない/考えたことがない」も23.9%に上り、4人に1人近くが具体的な対応策を想定していないようだ。

しかし実際の被災体験者からは異なる証言が聞かれた。「車を道路の脇に寄せて停車したが、オフロードを走行しているかのような強い横揺れが続いた」「車体は左右に揺れ、道路は波打っていた」「車から出たが立っていられないほどで、車につかまって揺れが収まるのを待った。地面が割れるのも目にし、とても怖かった」といった声からは、「徒歩避難」が現実的でない状況が多いことがうかがえる。
さらに揺れが収まった後も困難は続く。「橋が崩落して帰れなくなり、車中泊を余儀なくされた」「道路が陥没したり、大きな段差ができたりして通れなくなっていた」など、避難そのものが不可能なケースも報告されている。一方で「ブロック塀が倒れてきて車が下敷きになった」「落ちてきた石や看板で車のガラスが割れた」「倒れてきた電柱に車が押しつぶされた」といった事例からは、車内にとどまることも必ずしも安全ではないことが明らかになった。
備えへの行動変容が急務
調査からは車を避難に活用したいという意識はあるものの、具体的な備えに至っていない現状が浮き彫りになった。物価高や雇用不安が続く中、防災対策への投資は後回しになりがちだが、災害時の「最後の砦」として車を活用するには、平時からの備えが不可欠だ。特に移動中の被災リスクを考えると、最低限の水や食料、通信手段の確保は車を運転するすべての人に求められる「基本装備」といえるかもしれない。
この調査結果は、私たちが「いざという時は車で何とかなる」という楽観的な思い込みを抱きがちである一方、現実の災害では想定外の事態に直面する可能性が高いことを示している。真の防災対策とは、最悪のシナリオを想定した上での具体的な備えにこそあるのではないだろうか。
【調査概要】
調査対象:自家用車を所有する全国の男女3384人
調査期間:2025年6月24日~7月5日
調査方法:インターネット調査


