地震大国・日本で車を活用した防災対策への関心が高まる一方、実際の備えは大幅に遅れている実態が明らかになった。個人向けカーリースサービス「カーリースカルモくん」を運営するナイル株式会社が自家用車を所有する全国の男女3384人を対象に実施した調査によると、車を避難場所として使うことを検討している人は66.6%に達する一方で、実際に車内に防災グッズを常備している人はわずか9.8%にとどまることが明らかになった。

関東エリアが防災意識をリード
車内に防災グッズを積んでいる9.8%の人の内訳を地域別で見ると、東京都が14.5%で最多となり、神奈川県、千葉県、埼玉県を含む1都3県で全体の34.4%を占めた。関東大震災や東日本大震災の経験が、関東エリアの車防災意識の高さにつながっている可能性がある。
実際に防災グッズを積んでいる人の備品では、「飲料水」(67.3%)が最多で、「モバイルバッテリー/電源」(55.5%)、「毛布・防寒具」(53.6%)、「非常食」(52.3%)、「簡易トイレ」(47.3%)、「車載用充電器」(39.1%)、「地図やラジオ」(35.5%)、「車外脱出用グッズ」(34.5%)が続いた。移動中の被災や車中泊を想定した実用的な備えに加え、通信遮断時の情報確保や緊急脱出への備えも重視されていることがわかる。

避難所への不安が車利用の背景に
車を避難場所として使う可能性があるかという質問では、「使うと思う」が15.0%、「状況によっては使うと思う」が51.6%となり、合計で66.6%が何らかの形で検討していることがわかった。

車を避難場所として「使うと思う」と回答した15.0%の人の理由を見ると、「避難所は衛生面やプライバシーの問題が気になる」「避難所はストレスが溜まりそう」「女性にとって避難所は危険」「ペットを飼っているから」といった声があり、避難所への不安が車利用を後押ししている面があるようだ。
また「状況によっては使うと思う」と答えた51.6%の人からは、「自宅が損壊した場合」「避難所まで行けないと判断したとき」「避難所が混雑していたら」といった具体的な想定が寄せられた。
一方、「使わないと思う」と回答した18.5%の人からは、「コンパクトカーなので体を横にできない」「家族全員で寝泊まりできるほどの広さがない」といった物理的な車内空間の制約や、「阪神淡路大震災から車中泊は危ないイメージがある」「二次災害リスクが高そう」など車中泊の危険性を懸念する声が多く挙がった。



