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2025.09.02 09:00

使用済み核燃料は「宝の山」 AI時代の電力需要を支える再利用の道

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熱と電流でウランやプルトニウムを分離する乾式処理

従来、使用済み核燃料のリサイクルは硝酸を用いた危険な方法で行われ、追加的な放射性汚染を生じさせてきた。それとは対照的に、Curioのプロセスは乾式の電気化学的・熱化学的処理システムとなっており、熱と化学反応を利用し、沸点や重量の違いから同位体や核分裂生成物を分離している。

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Curioはまた、電流を使用してウランやプルトニウムなどの金属元素を分離している。この手法は、ほぼすべての核分裂生成物が金属であったり、金属のように振る舞う性質を持つ点を活用するものだ。

米国の年間需要の3分の1を賄うウランを再生可能

その結果得られるのは、クリーンに分離された元素だ。具体的には、再び燃料として利用できるウラン、新型炉向けの低濃縮プルトニウムを回収する。さらにロジウム、パラジウム、クリプトン、アメリシウム、セシウム、ストロンチウムなどの多数の貴重な材料を取り出せる。

また、原子炉用のウランについてマギニスは、「1つの施設から、米国全体の核燃料用ウラン供給の年間最大3分の1を賄えるだけの量を取り出せる」と述べている。

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増え続ける使用済み核燃料と処理の可能性

米国には現在、およそ9万トンの高レベル放射性使用済み燃料が存在し、年間約2000トンずつ増え続けている。世界全体では約40万トンに達し、そのうち再処理されたのは3分の1にすぎない。つまり、原料は十分にあるということだ。

この再処理がもたらす大きな利点は、核廃棄物の危険な放射能放出期間を1万年から数百年へと大幅に短縮できる点にある。これにより核廃棄物の総量が減る上、残る廃棄物の危険期間も数百年と短くなるため、安全な保管場所の確保が容易になり、政治的な合意も得やすくなる。

エネルギー省が支援する3年間の実証契約

マギニスは、この取り組みが「実現可能だ」と自信を見せている。エネルギー省もまた、国立研究所での3年間の実証試験の費用の大半を負担しており、この試験は来年中に終了する見通しだ。すべてが計画通りに進めば、3〜5年以内に商業規模の施設が生まれる可能性がある。

これにより、米国はAIによって引き起こされるエネルギーの逼迫と、厄介な核廃棄物問題の両方を解決する道を開くかもしれない。さらに、極めて高価値な金属や同位体をもたらす可能性もある。たとえばCurioは、このプロセスを用いれば、米国の廃棄物だけで世界のロジウム需要の1割を供給できると述べている。

核廃棄物を資源と見なす視点の再定義

こうした一連の取り組みは、核廃棄物に対する従来の見方を根本から変え、資源として、戦略的優位性として、そして未来の安全でクリーンなエネルギー基盤を支える重要な柱にするかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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