サイエンス

2025.08.29 14:00

米国で「肉食バエ」が人間に寄生 危険性が高いのは幼虫

新世界ラセンウジバエの成虫(Getty Images)

新世界ラセンウジバエが寄生した場合、治療法はあるのか?

CDCによると、新世界ラセンウジバエが人間に寄生すると強い痛みを伴うことがある。当初の傷が治癒せず、幼虫の摂食に伴って傷口が拡大する場合もある。傷口の内部や周囲にうじ虫が見えることもある。幼虫は生きた肉を食べるため、患者に深刻な損傷が生じることもある。また、傷が適切な状態で治癒しないため、細菌に感染する可能性もある。

advertisement

新世界ラセンウジバエの寄生の治療にさまざまな化学製剤の有効性が検証されているが、動物や人間への使用が承認された薬剤はない。人間の場合、医療従事者が幼虫を物理的に除去することが推奨される処置だ。寄生虫感染を放置すると、命に関わる場合がある。

米国は新世界ラセンウジバエの根絶に成功

1960年代以前には、新世界ラセンウジバエは米南部全域に生息していた。人間への寄生はまれだったが、家畜、特に牛の群れに新世界ラセンウジバエが寄生すれば、深刻な影響が及ぶ可能性があった。酪農上の脅威を最小限に抑えるため、米国は根絶作戦に乗り出した。その結果、同国は在来の新世界ラセンウジバエの絶滅に成功した。だが、他の地域では新世界ラセンウジバエが依然として生息しており、時折大発生し、大きな経済損失を生み出すこともある。新世界ラセンウジバエは2023年以降、メキシコなどの中米諸国を経由して北上している。

新世界ラセンウジバエについて懸念すべきか?

現時点では恐らく心配する必要はないだろう。今回米国で確認された旅行に関連する事例は、孤立した事象だとみられる。とはいえ、この孤立した事例は、私たちがますますつながりを深める国際社会に生きていることを痛烈に思い知らせるものだ。現代社会では、わずか数時間で地球の反対側まで移動することができる。また、気候変動により、多くの種の生息域が変化している。強固な監視体制は絶対に必要だ。基礎研究への資金提供も極めて重要だ。私たちは受け身であってはならない。公衆衛生を守るため、私たちは積極的に取り組んでいくことが必要だ。

advertisement

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事