また、英国の規制当局は、同社が子どものデータを不正に利用したかどうかを調査しており、スペイン当局は違法な広告ターゲティングを行ったかを捜査中だ。さらにフランス議会は、このアプリが子どもの心理に有害かどうかを検証している。アイルランドのデータ保護当局は4月にTikTokに対し、同社が引き当てた10億ドルのうちの半分以上の罰金を科すよう命じたばかりだが、すでに第2の調査に着手している。そこでは、バイトダンスが欧州ユーザーのTikTokデータへの不適切な中国側からのアクセスを可能にしたかどうかが焦点になっている。
TikTokはここ数年、「プロジェクト・クローバー」と呼ばれる取り組みを通じて、中国からの欧州のユーザーデータへのアクセスを減らす措置を講じている。同社は今年初めにノルウェーでデータセンターを開設し、さらにフィンランドに2つ目のデータセンターを設置する計画も発表している。こうした努力は一部の罰金や制裁のリスクを和らげる可能性があるものの、同社は欧州デジタルサービス法が定める「広告主に関する情報の公開義務」に従わなかった場合、年間収益の最大6%に相当する罰金を科される可能性がある。
それでもTikTokは、規制による脅威が財務にもたらす影響に対応するため、コスト削減を一層強化している模様だ。英紙フィナンシャル・タイムズは先日、同社がロンドンにある信頼・安全部門の数百人のレイオフを計画していると警告したと報じた。その一環で同社は、モデレーション業務をAIで自動化する計画を進めているという。「利用者の安全は、引き続き当グループの事業運営の中心にある」とTikTokは財務報告書の中で述べていた。
TikTokの年次提出書類によると、欧州での従業員数はこの1年間で6%減少し、7981人となった。しかし人員削減にもかかわらず、人件費は2023年の8億500万ドル(約1190億円)から2024年には9億3700万ドル(約1380億円)へと増加した。TikTokは、今年4月と5月、7月にも従業員の削減を行っているが、今回のレイオフはコスト削減に向けた同社の大規模な取り組みの一環とされる。


