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2025.08.29 10:00

打倒テスラ掲げる中国のロボット企業「星海図」、評価額1000億円の野望

2025年2月、中国・上海で開催された「2025グローバル開発者会議」に登場したGalaxea AIのロボット(Photo by VCG/VCG via Getty Images)

AIモデルG0と技術進化の方向性

許は、トップクラスの科学者やエンジニアが集まったチームが――「より優れたロボットをつくる」という使命を掲げる星海図が――この分野の先頭に立つと考えている。同社はまだ発展途上にあるが、8月には「G0」と呼ばれるAIモデルを発表した。同社によれば、このモデルを使うことで、ロボットは音声命令の理解度や推論能力を高め、ベッドメイキングのような比較的複雑な作業もこなせるようになるという。G0は、家庭や店舗、オフィスなどの実際の環境で星海図が収集したロボットの行動のデータセットを基に構築された。同社は、世界的なヒューマノイド開発の基盤を築くことを視野に入れており、このデータセットを外部にも開放する計画だ。

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ただしUBS証券のワンは、ロボットの技術が日常生活で人を本当に支援できるレベルに進化するためには、かなりの時間がかかる可能性があると警告している。

星海図の顧客には、米国のAI企業Physical Intelligenceや、R1を使ってゴミ捨てや浴室の掃除などの作業を実行させるための訓練を行っているスタンフォード大学が含まれる。許は、産業界の顧客については秘密保持契約を理由に社名を明かさなかったが、年内に中国の自動車メーカーが工場内の部品の運搬にR1を使い始める予定だと語った。星海図は、2024年に売上を計上しなかったが、今年は数千万元(十数億円)規模の売上を見込んでおり、2026年の黒字化を目指している。

中国市場における競合と国家支援

一方、フロリダの調査会社SemiAnalysisのロボット専門アナリスト、レイク・クヌーセンは、星海図は優れたチームを持っているが、「中国国内の競争は激しい」と指摘する。BofAグローバル・リサーチの香港拠点のアナリスト、ミン・シュン・リーは、中国には推定30〜40社のヒューマノイドメーカーが存在すると述べている。彼は、この分野を10年前の中国の電気自動車(EV)業界に例えている。当時は政府がEVを新たな成長の柱として奨励したこともあり、多数の企業がシェアを争っていた。

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そして中国政府は今、高齢化と労働力不足の見通しを背景に、国家主導の投資でヒューマノイド開発を後押ししている。3月に、政府はロボットを含むハイテク産業への投資に向けて、1380億ドル(約20兆円)規模のファンドを設立すると発表した。また、14億人の国民をロボットに親しませるために、政府はさまざまなイベントを主催している。その1つが8月に北京で初開催された「世界ヒューマノイドロボット大会」で、16か国から集まったロボットが、サッカーやキックボクシング、ダンスなどの競技で競い合った。

国際ロボット連盟(IFR)のスザンヌ・ビエラー事務総長は「中国政府は、ヒューマノイドと共に暮らす未来に向けた準備を進めている」と語った。

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編集=上田裕資

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