「中国のシリコンバレー」と呼ばれる北京・中関村地区。蒸し暑い7月の午後、とある目立たないビルに入るロボット新興企業、星海図(Galaxea AI)の実験室は雑然としていた。その中で、若い社員が台座付きロボットアームのスイッチを入れ、ランプを点灯させた。また別の社員は、2本のアームがしわだらけのシーツを伸ばしてベッドを整えようとする様子を撮影していた。
設立2年の新興企業が描く野心的な目標
こうした映像は、星海図の車輪付きヒューマノイド(人型ロボット)のR1シリーズに搭載される人工知能(AI)モデルのトレーニングに使用される。身長1.7メートルのR1は工場の作業支援向けに設計され、将来的には家庭への展開も見据えている。人々の暮らしを一変させると期待される次世代ロボットの開発をめぐり熾烈な競争が繰り広げられる業界で、創業わずか2年のこの会社は野心的な目標を掲げている。
「この分野は実際、とても速いスピードで進化している」と、星海図の共同創業者で共同科学責任者の許華哲(シュウ・ホアジェ。32)は述べている。「私たちは自社の進歩を示すために、さらに努力を重ね、速く動かなければならない」と、彼は質素な会議室で語った。
R1ロボットの組立ライン導入計画
許によれば、社名の「星海図」は「銀河(galaxy)」と「海(sea)」を組み合わせたもので、「道中の困難を越えて星を目指す」という創業者の志が込められているという。同社は昨年、フォーブス・アジアが選ぶ「注目企業100社」にも選出された。スタンフォードで学んだ物静かなエンジニアの彼によれば、同社はまず、3年以内にR1を工場の組立ラインに大規模に導入する計画だ。
製造分野において自動化はすでに大きな役割を果たしている。ドイツ・フランクフルトに本部を置く国際ロボット連盟(IFR)によれば、中国は、従業員1万人あたりのロボット密度で世界一の韓国やシンガポールと並んで産業用ロボット分野の世界的リーダーとなっている。星海図のR1ヒューマノイドは、自動車製造のように膨大な数の部品を手作業で組み立てる工程の中で、精密さと器用さを要する反復作業を引き受けることを狙っている。



