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2025.09.03 08:15

日本の若者7割に交際相手がいない 少子化の真の原因とは

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少子化は先進国全般の問題だが、どうして子どもが増えないのか。とくに日本では、子どもを持たない人(無子人口)の割合が世界でもっとも高いという。いろいろな要因が考えられるが、そのひとつに伴侶がいないことがあげられる。日本の18〜34歳の未婚者のうち交際相手がいない人は約7割と非常に多い。それが少子化に与える影響が、じつは大きかった。

子どもが欲しい気持ちのことを「出生願望」という。それが交際相手の有無によってどう変わるのかを、スペインのポンペウ・ファブラ大学、学習院大学、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンによる研究チームが、2009年から2023年にかけて実施された「東大社研・若年壮年パネル調査」(JLPS)のデータから分析を行った。これは、東京大学社会科学研究所による同一参加者の動向を定期的に調査するパネル調査のひとつで、日本に暮らす「いわゆる働き盛り」の人たちの「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」のこと。

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研究チームは、そのうち20〜49歳の「子どもを持ったことがない」人たちを抽出し、「結婚」、「同棲」、「非同棲の交際相手あり」、「交際相手なし」の4つのグループに分けた。そのそれぞれで、子どもが「欲しい」、「わからない」、「欲しくない」の3段階で出生願望を評価を行った。

それによると、調査期間中に交際相手を失った人の出生願望は、「わからない」や「欲しくない」に変化しやすく、とくに「欲しい」から「わからない」への変化が強く見られた。この変化は、別れた途端に表れる傾向も示された。

結婚している人を基準とした、それ以外の人たちの出生願望の度合い。交際相手なしの出生願望が極端に低い。
結婚している人を基準とした、それ以外の人たちの出生願望の度合い。交際相手なしの出生願望が極端に低い。

このことから、「意図せずに子どもがいない状態」におかれている人が多いことがわかる。また、調査期間中ずっと交際相手なしだった人のうち、女性の28パーセント、男性の21パーセントは出生願望が「欲しい」を維持しており、ずっと「欲しくない」と答え続けた人(女性10パーセント、男性7パーセント)を大きく上回った。

伴侶がいれば子どもが欲しい人、また交際相手の有無にかかわらず子どもが欲しい人が一定数いることは安心材料だ。日本人は子どもが嫌いになったわけではない。研究チームは、この知見をもとに、子どもが欲しいが持てない人への支援が求められると話している。なぜ交際相手がいないのか、交際したくないのか、そこを掘り下げることが少子化対策の大きな柱になる可能性が、この調査から見えてきた。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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