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2025.08.30 16:00

グーグルのPixel 10 Proを通して見える「スマートフォンの未来の姿」

Pixel 10 Pro XL(Google)

Pixel 10 Pro XL(Google)

グーグルのPixel 10およびPixel 10 Proは「グーグルを象徴するスマートフォン」の毎年のアップデートと思われてしまいがちだ。しかし、ここ数週間Pixel 10 Proを試用してわかったのは、Pixelというプラットフォームが消費者にとって単なる新しいスマートフォン以上のものであり、グーグルがスマートフォン市場を自社に有利な形へと再編するための「テコ」であるということだ。

Pixel 10 Proは、充電、チップ、そしてAIによる指示を通じて、グーグルが取り組む短期・中期・長期の市場戦略をどのように示しているのだろうか。

Pixel 10 ProのQi2規格戦略

Pixelシリーズの新機能の1つに、ワイヤレス充電規格「Qi2」の採用がある。これにより、Pixel 10、10 Pro、10 Pro Foldでは15W、Pixel 10 Pro XLでは最大25Wのワイヤレス充電が可能になる。重要なのは、この規格の一部である磁気コネクタが端末本体に内蔵している点だ。他のメーカーは、磁石を内蔵した追加ケースを提供することでQi2に対応してきた。

なぜ磁石が重要なのか。主な理由は、手動で正確に位置合わせをする必要がなくなるからだ。誘導充電コイルの位置から少しずれるだけで充電速度は低下していたが、Pixelファミリーではもはやその心配はない。

これは「Pixelsnap」と名づけられているが、Qi2はオープンスタンダードであり、すべてのメーカーが利用できる規格だ。Pixel 10シリーズに搭載されたことで、あらゆるQi2充電デバイスとの簡単な相互運用性が確保される(これにはアップルのiPhone用MagSafeアクセサリーも含まれる。アップルもQi2規格の策定に貢献している)。かつては充電器や周辺機器のエコシステムが断片化していたが、グーグルは今、それらをすべて1つにまとめる時が来たと述べているのだ。

サムスンのGalaxy S25における「Qi2対応準備済み」というアプローチを考えてみよう。2026年に次期Galaxyが発売される頃には、このアプローチでは不十分かもしれない。サムスンや他のメーカーにとっての選択肢は、この規格の採用においてグーグルの先例に従うか、あるいは断片化され独自仕様になりかねないシステムに固執して蚊帳の外に留まるかとなる。「信頼性が高く、幅広い周辺機器とのシームレスな体験」といううたい文句の下、多くのメーカーが追随することになると筆者は推測する。

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翻訳=酒匂寛

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