大国が関与したほとんどの戦争は、後代の戦略家に不朽の戦訓を残している。第二次世界大戦は、航空戦力が新たな優位性をもたらすことや、核爆弾が決定的な役割を果たすことをわたしたちに教えた。ベトナム戦争は、人々の意志が火力と同じくらい重要であることを、厳しい経験を通じて米国に学ばせた。不幸なことに、わたしたちはその教訓を、9.11攻撃に続く戦争であらためて噛みしめることになった。
現在のロシア・ウクライナ戦争は、デジタル時代の戦いで決定的に重要でありながら、いまだ十分に論じられていない戦訓をわたしたちに示している。非常に数が多く、高度にネットワーク化され、商業的に入手できる技術を活用することで、作戦レベルや戦略レベルで大きな影響を与えることができるという教えだ。ウクライナは低コストで効果の高いドローン(無人機)を利用して、自国を防衛するだけでなく、ほんの数年前には想像もできなかったような仕方でロシア領内深くを攻撃している(ロシアもまたドローンでウクライナに縦深攻撃を加えている)。
ここで戦力を増強している真の要因はドローンそのものだけではなく、「ネットワーク効果」にある。ドローンやセンサー、ソフトウェアが連携して機能することで、リアルタイムのターゲティング(目標を選定し、優先順位をつけ、適切な対応をする一連のプロセス)、情報収集、大量の精密打撃を行う能力が可能になるのだ。こうしたツールは、勇猛だとはいえまだ若いウクライナ軍によって駆使され、ロシア軍のような、戦力の集中と消耗戦を頼みとする伝統的な、だが侮りがたい戦闘ドクトリンに依拠する敵すら上回る力を発揮している。これには明らかに重大な含意があり、わたしたちは戦争の主要な原則のいくつかについて適用の仕方を再考しなければならない。そうしなければ、決定的に重要な次の領域を、戦いが始まる前の段階から明け渡す危険が出てくる。その領域とは宇宙だ。
戦争の古典的な諸原則のうち3つは、最新の戦闘領域である宇宙に適用するにあたって根本的に考え直す必要がある。ロシア・ウクライナ戦争はその手がかりを与えている。



