キャリア

2025.08.30 10:00

職にしがみつく「ジョブハギング」の増加が顕著に、経済不安の時代に企業と社員が今すべきこと

DNY59/ Getty Images

雇用主はどう対処できるか

リーダーはこの機会に能力開発やメンターシップ、成長に力を入れるべきだとシエルケは指摘する。「従業員は転職しないかもしれないが、それでも前進する必要がある」とシエルケは言う。「優れたリーダーは、安定とエンゲージメントは同じではないことを認識し、現状を乗り越えて続く力強い文化を構築するためにこの時期を利用するだろう」

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米サンディエゴ大学クナウスビジネススクールの企業倫理学教授で経営学部長を務めるタラ・セラニック・サリナスにも話を聞いた。サリナスは、雇用主が従業員の懸念や不満に対応しない場合、従業員の仕事に対する意欲が失われ、従業員にも収益にも打撃となることが多いことに同意する。

「リーダーは、今が誰にとっても困難な時期であることを認識し、行動する必要がある」とサリナスは言う。「エンゲージメントの醸成を正真正銘望む企業は企業文化に投資し、口先だけでなく共感と人間性を優先させなければならない」。雇用主がジョブハギングに対処するための方法は、他にも以下のようなものがある。

1. 従業員の様子を確認する:率直なフィードバックを共有する機会を定期的に設け、その後フィードバックへの対応として実施したことを示すようにすることをサリナスは勧める。ジョブハギングを認識することは、リーダーがチームと関わり、チームメンバーの恐れやニーズ、動機を理解するチャンスになるとシエルケは考えている。

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2. 従業員の成長に投資する:シエルケは雇用主に対し、従業員の社内外での成長に投資することを気にかけていることを従業員に示すよう勧める。シエルケは、極めて不確実な時代に従業員のために安定や安全、つながりを生み出す方法を考えることの重要性を強調する。サリナスは、追加のトレーニングや指導、キャリア開発の道を提供することで、従業員は評価されていると感じ、行き詰まりをさほど感じなくなると話す。

3. 柔軟な働き方を再導入する:「最近、出社が強制され、職場から柔軟性がなくなっている」とサリナスは指摘する。「だが、それが従業員の不評を買っている。柔軟なスケジュールやハイブリッド・ワークを再導入しようとする企業は、従業員が何を望んでいるかを理解していることを示している」とサリナスは言う。

4. 共感の模範となる:優れたリーダーとなり、回復力のある企業文化を築くためには脆弱性が鍵となるとサリナスは主張する。サリナスは、リーダーが自らの経験や不満を共有することを提唱している。シエルケはリーダーが業界のニュースや記事を共有し、毎日の会議や雑談の中でQ&Aやオープンな会話の時間を設けること。そして従業員が仕事に熱意を持ち、懸念について話せるようにすることで、共感を示すことができると言う。

5. 会社のビジョンを説明する:雇用主は従業員が会社の方向性を理解し、それぞれの役割が会社のビジョンにどのように組み込まれているのか、また、従業員が見るべき重要な要素や主要な指標を共有することをシエルケは勧める。

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翻訳=溝口慈子

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