北米

2025.08.29 11:30

「古き良き時代の米国」テーマの米レストランチェーンがロゴ変更、保守派の怒りを買い炎上

Bruce VanLoon / Shutterstock.com

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「古き良き時代の米国」をテーマにするレストランチェーン「Cracker Barrel(クラッカー・バレル)」の新しいロゴが、ネット上で議論を呼んでいる。この炎上騒ぎは、分断が進む米国で進行している文化戦争の、最も新しい戦いの場と位置づけられるだろう。

クラッカー・バレルのロゴをめぐる議論の経緯

クラッカー・バレルは8月18日、自社のロゴをシンプルなものに刷新した。これにより、同ブランドを象徴するイラストだった「ハーシェルおじさん(Uncle Herschel)」と、彼のかたわらにあった樽(バレル)が消えた。クラッカー・バレルのロゴは、かろうじて樽に見えないこともない、シンプルな黄色の図形で表現されることになったのだ。

こうしたブランド刷新に、独自性はほとんど感じられなかった。モダンでミニマリストなデザインが流行するなか、多くの企業がロゴから個性をぬぐいさり、シンプルなフォントでブランド名が書かれているだけのロゴを採用しているからだ。

こうしたトレンドを気に入っている人は少ないようだ。多くのソーシャルメディアユーザーが、カラフルでマスコットなどが登場する過去のロゴと、それに代わって登場した、無味乾燥で面白みに欠けるロゴを比較する画像を作成し、投稿している。

こうした批判的な声の中には、保守的・反動的なものもある。攻撃的なまでに懐古主義を掲げるSNSアカウントは、大量消費主義が席巻した1990年代の日々を懐かしみ、嘆いている。当時は、McDonald's(マクドナルド)はまだ子ども向けの飲食店チェーンの雰囲気があったし、Pizza Hut(ピザハット)のロゴマークも、わかりやすい「帽子」の形をしていた。

また、別のレストランチェーン「Steak 'n Shake(ステーキ・アンド・シェイク)」も、この騒動に参戦した。クラッカー・バレルの新ロゴの文字部分を、「FIRE THE CEO(CEOをクビにしろ)」に変えたバージョンの画像を、公式Xアカウントで投稿したのだ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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