かつて米国家安全保障局(NSA)の分析官を務め、現在は米アップルに特化したセキュリティ企業ダブルユーを率いるパトリック・ウォードル最高経営責任者(CEO)も、ロシア人専門家の分析結果を確認した。その上で、マックスのコードには、高精度のバックグラウンド位置追跡機能が組み込まれていることが示されていると指摘。「国民のリアルタイムの位置情報と通信へのアクセス状況──独裁政権がこれ以上望むものなどあるだろうか?」と述べた。
フォーブスはアプリを開発したVKにも取材を試みたが、回答は得られなかった。同社はロシア最大のSNS「VKontakte(フコンタクテ)」を開発したことで知られる。VKは2021年以降、国営天然ガス企業ガスプロムや国営軍需企業ロステクを含む複数のロシア国営企業が株式の過半数を保有しており、実質的に政府が支配している。同社のウラジーミル・キリエンコCEOは、ロシア大統領府(クレムリン)第一副長官を務めるセルゲイ・キリエンコ元首相の息子だ。
英ロイター通信が報じたところによると、ロシアでは9月1日から国内で販売されるスマートフォンやタブレットを含むすべての端末に、マックスをあらかじめインストールすることが義務付けられる。ロシア国内向けアプリストアのルストアでも、同日からすべてのアップル端末にマックスがインストールされる。アンドロイド端末にはすでに同アプリがインストールされている。
ロシア政府はウクライナ侵攻を巡り、国内のインターネットと報道に対する統制を強化しようとしており、この動きは携帯端末だけにとどまらない。来年1月1日からは、すべてのスマートテレビに国営チャンネルを視聴するためのアプリ「Lime HD TV」をインストールすることが義務化される。


