米国が製造業に再び火を灯そうと躍起になっている一方で、中国の製造業は明かりを落としつつある。
中国各地の工場は文字どおりの意味で暗くなってきているのだ。ますます多くの工場が、人の手を介さずに稼働するようになっているからだ。こうした「消灯工場」の増加は、製造業へのロボットの導入で、中国とほかの国々との間の差がどんどん開いている現状を物語っている。
しかし、だからといって米国の製造業も急いで照明のスイッチを切る方向に動くべきなのかと言えば、そういうわけではない。米国が製造業の競争力を回復させるために進むべき方向は、もっと「人間的」なものだと思われる。
「消灯製造」でも先を行く中国
工場がますます強力なオートメーション(自動化)技術の導入を進めるなか、一部の工場は新たな目標を掲げている。人間が照明を落として退出できるほどまで、操業を完全に自動化することだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は最近の動画で、主に電気自動車(EV)を手がける中国の高級車ブランド「Zeekr(ジーカー)」が、自動化によって創業からわずか4年で年産30万台(1日換算800台超)を実現したことを解説している。米テスラの場合、同等の生産規模に達するのに10年あまりかかっている。動画によると、ジーカーの工場の一角では実際に、薄暗い照明のもと、ロボットが人間の助けを借りず、たんたんと作業をこなしている。WSJはこの区画について「人間がほぼ不要な程度にまで自動化されているので、理論的には照明を完全に落とすることもできるだろう」と説明している。
WSJは、中国では人件費の上昇が何年も続いており、自動化はその影響を緩和するための重要な方策とみなされているとも伝えている。中国による製造業へのロボット導入数は他国を圧倒している。国際ロボット連盟(IFR)の集計によれば、中国は2023年に産業用ロボットを27万6000台あまり設置し、2位の日本(約4万6000台)に6倍の差をつけている。米国の同年の産業用ロボット設置数は3万8000台ほどにとどまる。



