夏休みの最後の1週間は、子どもたちにとって1年でもっとも気が重い時期ではないだろうか。とくに、この瀬戸際まで宿題を放置してきたお気楽組には、照りつける陽光とは裏腹に心の中は暗くて寒い。親に手伝ってもらって泣く泣く重い鉛筆を持ち、始業式の前日になんとか形を整え帳尻を合わせるのが毎年恒例行事だったという御仁は、社会人になっても性懲りもせず同じような行動を取ることが調査によってわかった。
認知科学に基づくコーチングを提供するミズカラは、25〜59歳の既婚男女500人を対象に「夏休みの宿題とビジネス書類の着手タイミングの相関」と題する意識調査を実施した。その結果、夏休みの宿題を最終週まで先送りにしていた人たちのうち、会議直前に慌てて提案書や資料を準備する人の割合は23.3パーセント。それに対して、夏休みの第1週目からコツコツと真面目に宿題に取り組んでいたという人たちはわずか2.8パーセント。その差はじつに8.3倍だ。

こういう先送りの性格、または時間配分の下手さ加減は一生直らないのだろうか。直したいと思う人も多いはず。そこで、ギリギリ派の人たちに改善を試みたことがあるかを尋ねると、57パーセントの人たちが1回以上挑戦していた。そのなかで、改善に成功した人は21.2パーセント。多いか少ないかは微妙だが、何が明暗を分けたのだろう。
改善に成功した人と失敗した人たちに、その方法を聞いてみた。すると、成功した方法の73.6パーセントというダントツの1位は「自分の中で心がける努力をした」だった。ミズカラはそこに「強い意志」が働いていると分析している。強い意志の持ち主なら宿題もできただろうにと邪推したくなるが、「夏休みに宿題なんてやるもんか」と強い意志を貫いた人たちだとも言える。

冗談はともかく、失敗者が選んだ方法のトップも同じく「心がけ」だったのに、なぜダメだったのか。その答えは別の選択肢にあった。失敗者は成功者とくらべて、「スケジュール管理ツール」の利用と「身近な人のサポート」の割合が大きい。逆に成功者は「コーチやメンターをつけた」割合が大きい。「身近な人に頼る」、「とりあえずツールで解決した気になりがち」というのが失敗者の傾向だとミズカラは指摘する。イージーな方向に流れやすいということだ。それに対して成功者は、「絶対に変われる手段」としてコーチやメンターなどのプロに頼っている。そこに本気度が感じられる。

学校を卒業すれば宿題は消えてなくなるが、問題を先送りにする悪いクセは残り続ける。そこを改善しようと本気で取り組むことが「本当の宿題」なのかもしれないとミズカラは話している。



