国連は「前線からの距離に関係なく、ウクライナのすべての地域が実質的に攻撃を免れることはできなかった。国内の少なくとも16の地域と首都キーウで民間人が死傷した」と報告した。これについて、国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)のダニエル・ベル団長は次のように述べた。「ウクライナ全土の民間人は、ここ3年余りで経験したことのないほどの苦しみに耐えている。全国各地で長距離ミサイルやドローンによる攻撃が急増しており、前線から遠く離れた民間人の死亡や民間施設の破壊が増えている」
6月16~17日にかけてキーウで発生した攻撃では住宅が破壊され、民間人30人が死亡、172人が負傷した。この攻撃はロシアが全面侵攻を開始して以降、キーウに対する攻撃の中で2番目に多い死者数を出した。ベル団長は、民間人、特に子どもたちに与える壊滅的な影響を強調した。「子どもたちはベッドで眠ることもままならず、廊下や地下室、浴室に避難し、サイレンや爆発音から耳をふさいでいる。こうした体験は、心の中に生涯にわたる傷跡を残す」
8月に入ってからもロシア軍は激しい攻撃を続けており、多数の民間人犠牲者が出ている。ゼレンスキー大統領がトランプ大統領との会談のため米首都ワシントンを訪れている最中にも、ロシア軍による攻撃で、ウクライナでは少なくとも10人が死亡した。
これらの報告を総合すると、ロシアが攻撃の緩和に向けた措置を講じていることを示すものは何もなく、和平交渉に向けた善意を示す姿勢は見られない。平和の追求は、ウクライナがプーチン大統領の要求に屈しなければならないような一方的な取り組みであってはならない。ウクライナの未来は、同国に侵攻し、現地の民間人に想像を絶する苦しみをもたらしたプーチン大統領によって決定されるべきものではない。
プーチン大統領が犯した罪は、侵略罪、戦争犯罪、人道に対する罪、さらにはジェノサイド(集団殺害)にまで及ぶ可能性があり、正義と説明責任を問う包括的な対応が求められている。赤じゅうたんを敷いて同大統領を笑顔と握手で出迎えることなど、もってのほかだ。ウクライナには早急に平和を構築し、永続させることが必要だ。プーチン大統領に屈したところで、それは実現しないだろう。


