昇進は報酬アップ、地位の向上、責任の増大を約束する魅力的な申し出であり、しばしばキャリアにおける最大の成果とみなされる。このようなオファーは、努力と献身に対する見返りであり、期待以上の働きをする能力の証と捉えられる。
しかし、キャリアの進展は必ずしも直線的ではない。また昇進が、すべての人の目標や状況に沿うものとも限らない。実際のところ、昇進を断わり、現在のポジションにとどまることが、自身のキャリアプランや個人的な充足感の両面において、最も賢明な選択となる場合もある。以下に、その理由と対処法を詳しく見ていこう。
1. 新しい職務の全体像を理解する
決断を下す前に、新しい職務がもたらすものを理解することが重要だ。具体的には責任の重さ、業務量の変化、自身が管理または協働するチーム、そしてその職務が自分の長期的なキャリア目標とどのように結びつくかといったことだ。
こうした詳細を掘り下げることで、昇進が自身の意欲と合致しているか、あるいは最もやりがいを感じる仕事の領域から離れ、不満や燃え尽きにつながる可能性はないか、判断できる。
さらには新しい職務が、今の自分にないスキルや、身につけようとする意欲が湧きにくいスキルを要求するものである場合、その職務はあなたに適していない可能性がある。このように、業務内容やスキルが自身に合致しているかを検討していくと、昇進が自身にもたらす影響、特に仕事以外の私生活への影響という、より幅広い視点におのずと考えが及ぶ。
2. ワークライフバランスを考慮する
実際に昇進がもたらし得る変化について考えるとき、ワークライフバランスが非常に重要な課題として浮かび上がる。昇進すると多くの場合、勤務時間もプレッシャーも増え、場合によっては出張も増えるため、私生活やウェルビーイングに大きな影響を与えかねない。新しい職務の責任や業務量が、趣味、家族、個人的な活動に割く時間を減らす可能性がないか、よく考えてみることが不可欠だ。
昇進がこの貴重なバランスを脅かす可能性がある場合、オファーを断わることも賢明な判断かもしれない。あなたのウェルビーイング(心身の健康)と幸福は、キャリアの成功と同じくらい重要だ。したがって、仕事での成長チャンスと、私生活での優先事項がどのように並立するかを、慎重かつ総合的に評価する必要がある。
このように、ワークライフバランスを慎重に検討していくと、キャリアの進展におけるもう一つの重要な側面、すなわち私生活および仕事上の人間関係への影響についても、おのずと考えることになる。



