ヘルスケア

2025.09.04 10:15

村上春樹の仕事作法と「何かに燃えている人」の理想像

Getty Images

かつて、「人間は『◯◯をやろう』と思ってから、実際にそれをやる」という順番で行動していると考えられていました。

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ところが脳の活動の測定が可能になり、知見が積み重なった結果、今では「体が先、脳があと」が科学の結論になっています。

つまり、「やる気を出してから行動する」のではなく、「行動することでやる気が出てくる」のが脳の仕組みなのです。

勉強するのが嫌で、部屋の掃除やゲームを始めたらつい夢中になってしまうのも、その行動で掃除やゲームのやる気エンジンがかかるからなのです。

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やる気は「スイッチ」ではなく「エンジン」

(2)ルーティン化する

2つ目のポイントは「ルーティン化」です。

何かをやったら、それに対するやる気のエンジンがかかる。

でも、それだけでずっと燃え続けることは不可能です。

人間の脳は旧石器時代から変わっておらず、豊かな現代でもエネルギーの節約を優先してしまいます。

そのため、やる気が湧いても「コスパが悪い」と判断すれば、すぐに止まってしまうのです。

とあるCMの影響もあり、「やる気スイッチ」ということばが世間的にはよく使われますが、私は、「やる気は『スイッチ』ではなく『エンジン』である」と考えます。

やる気エンジンは行動すれば必ず点火できます。

でも、脳が「無駄」と判断した瞬間に止まってしまう仕組みなのです。

そんなやる気エンジンを止まりにくくするのがルーティン化。車でいうと、燃費を上げる取り組みです。

無意識下での行動は、自覚的にやるよりもエネルギーを節約できます。
つまり、続けたいことをルーティン化できると、現状維持しようとする脳に抵抗しやすくなるのです。

そして最終的には、続けること自体を「現状維持」の枠に組み込めます。

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文=堀田秀吾/言語学者(法言語学、心理言語学)、明治大学教授

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