現代人は日常的に多くの選択を迫られ、「決断疲れ」に陥りやすいといわれています。
ワーマンの著書は1989年刊行、ミルグラムは1933年生まれ、1984年没の人物です。
現代ではスマートフォンやSNSの普及により、情報量はさらに爆発的に増えています。そうなるより前の時代から、多すぎる情報量のデメリットが問題視されていたわけです。
情報過多のデメリットは、飲食店のメニューを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
メニュー数があまりに多いと、見る楽しみはあるけれど、何を頼めばいいかわからなくなってしまう方は多いはず。
正反対の例として、私の出身地・熊本の「天和」(てんほう)というラーメン屋さんが挙げられます。
同店のメニューは「おにぎり」と「ラーメン」と「ラーメン定食」と「ビール」のみ。
九州系のラーメン屋さん定番の替え玉もないので、お腹をすかせたツワモノの常連客は、最初からラーメンを2杯頼むほど。
これくらいシンプルだと、悩みようがありませんよね。
残念ながら、数年前に店主が代わり、場所も移転してしまったようで近年は訪ねられていないのですが、味、情報量の少なさ、雰囲気などすべて大好きなお店でした。
ショート動画でも脳は文字の数千倍の情報を受け取る
「それなら情報量を減らせばいいじゃないか」
近年ではYouTubeやTikTokのショート動画が人気ですし、長い動画や文章より脳にやさしそうに思えます。
しかし残念ながら、この判断は間違いです。
動画は短いものであっても、過剰負荷環境を加速させます。
動画は短時間で映像、音声、文字、動きといった大量の刺激が流れてきます。
一説によると、映像には文字の数千倍もの情報量があるとされています。
その理由も、進化心理学で考えるとわかりやすくなります。
家の中で視界の隅に影のようなものを感じて、パッと反応したら気のせいだった。こんな経験はありませんか?


