ヘルスケア

2025.09.02 10:45

「とりあえずやってみる」から私たちをいつの間にか遠ざける4つの要素

Getty Images

現代人は日常的に多くの選択を迫られ、「決断疲れ」に陥りやすいといわれています。

advertisement

ワーマンの著書は1989年刊行、ミルグラムは1933年生まれ、1984年没の人物です。

現代ではスマートフォンやSNSの普及により、情報量はさらに爆発的に増えています。そうなるより前の時代から、多すぎる情報量のデメリットが問題視されていたわけです。

情報過多のデメリットは、飲食店のメニューを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

advertisement

メニュー数があまりに多いと、見る楽しみはあるけれど、何を頼めばいいかわからなくなってしまう方は多いはず。

正反対の例として、私の出身地・熊本の「天和」(てんほう)というラーメン屋さんが挙げられます。

同店のメニューは「おにぎり」と「ラーメン」と「ラーメン定食」と「ビール」のみ。

九州系のラーメン屋さん定番の替え玉もないので、お腹をすかせたツワモノの常連客は、最初からラーメンを2杯頼むほど。

これくらいシンプルだと、悩みようがありませんよね。

残念ながら、数年前に店主が代わり、場所も移転してしまったようで近年は訪ねられていないのですが、味、情報量の少なさ、雰囲気などすべて大好きなお店でした。

ショート動画でも脳は文字の数千倍の情報を受け取る

「それなら情報量を減らせばいいじゃないか」

近年ではYouTubeやTikTokのショート動画が人気ですし、長い動画や文章より脳にやさしそうに思えます。

しかし残念ながら、この判断は間違いです。

動画は短いものであっても、過剰負荷環境を加速させます。

動画は短時間で映像、音声、文字、動きといった大量の刺激が流れてきます。

一説によると、映像には文字の数千倍もの情報量があるとされています。

その理由も、進化心理学で考えるとわかりやすくなります。

家の中で視界の隅に影のようなものを感じて、パッと反応したら気のせいだった。こんな経験はありませんか?

次ページ > 動くものを気にしてしまう本能が残っている

文=堀田秀吾/言語学者(法言語学、心理言語学)、明治大学教授

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事