「やりたいことがあるのになかなか一歩を踏み出せない」「情報はたくさん集めたのに結局行動に移せていない」。今の日本では何かに熱中できず燃えられない人は少なくありません。明治大学教授で言語学者の堀田秀吾氏は、そういった人たちが燃えられない背景には「情報過多時代」という構造的な要因があると指摘します。
情報過多が私たちを燃えられなくする仕組みについて堀田氏の著書『燃えられない症候群』(サンマーク出版)から一部引用・再編集してご紹介します。
情報過多が「とりあえずやってみる」をつぶす
人間を燃えにくくする、現代社会の構造的な要因の1つが「情報過多時代」の到来です。
アメリカの建築家リチャード・ワーマンは、著書『Information Anxiety』(Doubleday刊)で、ニューヨーク・タイムズの1日分の情報量は、17世紀の平均的なイギリス人が一生で得るものより多いと述べています。
また、アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムは、人間は大量の情報にさらされると、「過剰負荷環境」に陥りやすくなると指摘しました。
その状況を回避しようとする行動や考え方を「退避症候群」と名づけ、以下の4つの特徴を挙げています。
(1)情報を短時間で処理する
(2)他者との接触を必要最低限にする
(3)重要度の低い情報は無視する
(4)責任を人に負わせ逃避する
この(1)~(4)の行動は、「燃える」との相性が良くありません。
あまりに多くのニュース、意見、選択肢が押し寄せると、人は考えたり行動したりすること自体をあきらめ、ただ現状にとどまろうとする傾向が強まります。
情報量が多い時代は、構造的に人間が燃えにくくなってしまう。
だから、「とりあえずやってみよう」という気楽な気持ちすらも奪われるのです。
実際、この4つのどれかを日頃からやってしまっている方もいるのではないでしょうか。



