ウクライナの戦場で無人車両(UGV)はだんだんとありふれた存在になってきている。ウクライナは今年、UGV数万台の生産を計画しており、新たなタイプも登場している。そのひとつがFPV(一人称視点)ドローンの運搬車両で、このほど「カラクルト(ジュウサンボシゴケグモ)」という新作車両が公開された。
ドローンを無人車両に載せて運び、飛ばすこと自体はごく単純だが、その意味するところは深い。これは、銃砲で武装した有人車両からドローンを積載した無人車両への移行の始まりなのかもしれない。
ドローン運搬ロボ「カラクルト」
カラクルトは、ウクライナ西部リビウで8月初めに開催された防衛テック見本市「IRON DEMO 2025」で、開発元のウクライナ企業IRVによってお披露目された。カラクルトは「ベプリク(うりぼう)」という既存の装軌式UGVをベースにしている。UGVはさまざまな装備や任務に対応できるようにモジュール(組み替え容易な規格単位)式の設計になっているのが普通で、典型的な任務としては貨物の輸送、遺体や負傷者の後送(こうそう)、地雷の設置、爆発物による片道攻撃、旋回台座に乗せた機関銃による直接戦闘などがある。したがって、UGVをドローン運搬用に改造するのはそれほど難しくないはずだ。
カラクルトは操縦士側から最長4km離れた距離で運用できるとされる。地上ロボットの通信距離は、地形による遮蔽のために短くなる傾向にある。
カラクルトは上部の2つの発射レールにFPVドローンを各3機、合計で6機搭載可能だ。各ドローンはカラクルトに内蔵された中継器か、カラクルトなどから発進した中継用ドローン経由で制御される。IRV社によれば、後者の空中中継を利用すれば最大で30km離れた目標を攻撃できるという。
カラクルトは、ある地点まで出ていっていったん待機し、目標が探知されてから再び起動することもできる。特筆すべき点は、操縦士が2機のドローンを同時に発進・操縦できることだ。この機能により、たとえば1機目が攻撃したあと、2機目はその結果を観察し、必要に応じて追加の攻撃をする、といった運用が可能になっている。
カラクルトのシステム一式は、地上管制ユニット1基、ベプリク2両、FPVドローン12機で構成される。価格はおよそ200万フリブニャ(約710万円)で、米国製のジャベリン携行式対戦車ミサイル1発の4分の1ほどとなっている。こうした使い捨てできるシステムの開発・生産では、低コストの市販技術の活用が鍵を握る。



