アーク・インスティテュートによる応用と成果
タホ・セラピューティクスが1億ポイントのデータセットを公開してからわずか数カ月後、非営利の研究機関アーク・インスティテュートが、Tahoe-100Mを訓練データの一部に用いたオープンソースの仮想細胞モデル「State」を発表した。ベンチマーク試験の結果、アークはこのモデルが他のAIモデルの2倍の精度を示し、さらに、これまで基盤モデルより優れているとされてきたシンプルな機械学習プログラムをも上回ったことを確認した。
研究の背景と共同創業者の歩み
この成果は、タホ・セラピューティクスの共同創業者のユーにとって約10年に及ぶ努力の証しだ。
現在34歳の彼は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で生化学・生物物理学教授ハニ・グダルジの研究室に所属していたときに、Mosaicの基盤技術を開発した。アリドゥースト(39)はプリンストン大学で同級生だったときに初めてグダルジと出会った。2人は2022年に再会し、仮想細胞モデルを構築する会社を設立する構想について話し合った。グダルジは、そのような会社に不可欠なのは大規模なデータ収集だと語り、そこでユーを招き入れた。
アリドゥーストが、現在41歳のグダルジと初めて出会ったのはプリンストン大学のクラスメートとしてだった。2人は2022年に再会し、仮想細胞モデルを構築する会社を設立する構想について話し合った。グダルジは、そのような会社に不可欠なのは大規模なデータ収集だと語り、そこでユーを招き入れた。
その1カ月後、彼ら3人はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者であるケビン・ショカット(60)と共に、当時はVevo Therapueticsと呼ばれていた会社を共同創業した。同社は2022年12月にシードラウンドで1200万ドル(約18億円)を調達した。その後、法的な異議申し立てを受け、今年4月にタホ・セラピューティクスに社名を変更した。
次なる目標は、10億件規模のデータセット
新たな資金を得たタホ・セラピューティクスは現在、独自の仮想細胞モデルを支えるために、10億件を超える単一細胞データポイントを集めたデータセットの構築に注力している。同社は、自社モデルと独自データを武器に、がんと闘う新薬の開発を加速させている。アリドゥーストによると、タホ・セラピューティクスは現在「代表的ながんの一種」に対する候補薬を持っており、それを人での試験に進めるために必要な米食品医薬品局(FDA)の前臨床試験を進めているという。
製薬企業やAI企業との提携構想
さらにアリドゥーストは、同社は大規模なデータセットについては非公開のまま維持する方針だが、一方で大手製薬会社かAI企業のいずれかを選び、データを共有する計画があると述べている。その狙いは、新薬の開発や創薬向けAIモデルの開発でそれらの組織と協力し、収益化のチャンスを増やすことだという。彼によれば、そのパートナーはまだ決まっていないが、すでに複数の企業と小規模なプロジェクトとの協業を進めているという。
その一方で、同社はAIモデル向けにさらなるデータを生成し、自社の技術の有効性を実証する取り組みを続けていくと彼は語った。「私たちは今、生物学の未来を築き上げている最中だ。他の人たちもこの取り組みに参加してくれることを願っている」とアリドゥーストは語った。


