幸せは私たちの大半が切望するものであり、人生の究極のゴールだと考えている人も多い。業績や恋愛関係、あるいは日常生活のささやかな楽しみの中に幸せを追い求めるかもしれない。長年にわたり、何が本当に幸福をもたらすのかを探る数々の研究が行われてきた。
文化や世代を超えて、人々は幸せを見つけ、それを維持する能力を身につけたいと思っている。このような普遍性のある追求にもかかわらず、幸せは驚くほどつかみどころがない。これは部分的には追い求め方にある。時にはあまりに激しく追い求めるあまり、幸せを求める行為そのものが満たされない気分にさせることがある。
京都大学の研究者であるクアン・ジュ・フアンが昨年のインタビューで「幸せを大切にすることのパラドックスがある。『私は十分に幸せだろうか』と常に自問することで、幸せになるという目標を直接損なう気分に陥りかねない」と筆者に説明してくれた。
言い換えるとこれは、自分の幸福度を測ろうとすればするほど、自分には幸せが不足していると感じやすくなるということだ。
この罠から抜け出す1つの方法は、目先を変えることだ。絶え間ない自己評価へあまりに注意を向けるのではなく、つながりに視点を移すのだ。他人とつながれば、堂々巡りにならずにすむ。あなたが受けているサポートや自分の帰属意識を思い出すことになる。
だが、このようにオープンになるには、他人や自分自身、さらには人生の流れそのものを信頼することが必要だ。
もっと信頼される人間になれば、幸せの一瞬一瞬をコントロールし、測定しようとするプレッシャーが和らぐ。このように信頼は他人との絆の中にウェルビーイングを定着させることに役立ち、より持続可能であるだけでなく、壊れにくい幸せの形を生み出す。
自分が「十分に幸せ」かどうかを問うのではなく、喜びはつながりの中に自然に生まれるものだと知っているからこそ、共有する体験に身を任せることができる。信頼は安心感を生み、これによりポジティブな感情をより自由に、そして深いところで温めることができる。
学術誌『Psychological Bulletin(サイコロジカル・ブレティン)』に今年掲載された研究では、信頼と幸福の関係を深く掘り下げて調べている。
研究チームは大規模なメタアナリシスを実施し、計250万人以上の参加者を対象にした研究からデータを抽出した。
あるグループ、あるいは特定の瞬間だけを見るのではなく、年齢や文化、種類(人、恋愛関係、組織に対する信頼など)を問わず信頼を調査した。
生活満足度から心の健康まで、ウェルビーイングのさまざまな側面も考慮しつつ、これらのパターンを長期にわたって追跡した。
その結果、信頼と幸福の関係は一方通行ではなく、強化するループを生み出すことが明らかになった。これは主に以下の2つの方法で起こる。



