1. 信頼は「精神面の負荷」を軽くする
周囲の人や組織が自分を失望させるのではないかと常に疑っている状態にあると、精神的な負担が大きくなる。これは、あなたのウェルビーイングに重くのしかかる一種のバックグラウンド・ノイズを生み出すため、負担になる。
このため、信頼は重要な役割を果たす。疑いの負荷を軽減するのだ。信頼することができれば、常に疑心暗鬼になって生きることはなくなり、楽しむ余地が生み出される。
メタアナリシスでは、信頼と主観的なウェルビーイングの間には一貫してポジティブなつながりがあることが示された。人やコミュニティ、組織などに対して大きな信頼を寄せていると答えた人は、幸福感や人生の満足度も高いと報告していた。
興味深いことに、この関連性は文化や年齢、信頼のタイプにかかわらず当てはまり、信頼は単に特定の文化で好まれるものではなく、ウェルビーイングの普遍的な構成要素であることを示唆している。
このことは、信頼を育むことが単に楽観的であること以上のものであることを示唆している。信頼するほどに不必要な警戒心が減り、より深い恋愛関係につながる。これは当然幸せを促進する。
信頼することは、純朴になることでも盲目的に希望を抱くことでもない。ああだこうだ考えたり、最悪の事態に備えたり、あるいは警戒し続けたりすることにエネルギーを使わない。自分のエネルギーを現在に、そして実際に自分の周りの良いことに気づくことに向けることができるのだ。
信頼があなたに喜びをもたらすもう1つの方法は、ネガティブなことを予期する傾向を和らげることだ。物事はうまくいかないだろうと常に考えなければ、物事がうまくいったときによりオープンになれる。あるいは、どうすればうまくいくかに関心が向く。このシフトはあなたの人生に大きな変化をもたらし、より多くの幸せへとあなたを向かわせることができる。
2. 幸福は信頼の余地を増やす
素晴らしいウェルビーイングを経験すると、世界との関わり方が変わる。
幸福を感じる瞬間はあなたをよりオープンにし、他人の疑わしい点を好意的に解釈するようにする力があるからだ。基本的に感情が前向きな状態であれば、信頼がより自然に感じられる状況が作り出される。
前述の研究では、ウェルビーイングそのものがより高い信頼レベルを示すことがわかった。また、自分は幸福だと答えた人ほど、人やコミュニティ、組織に信頼を寄せる傾向が強かった。つまり、幸福と信頼はそれぞれに作用するのではなく、実際には互いに影響し合っている。この2つが合わさることで、ウェルビーイングとつながりを維持するサイクルが生まれる。
専門誌『Journal of Happiness Studies(ジャーナル・オブ・ハピネス・スタディーズ)』に2024年に掲載された研究でも、信頼する人ほどウェルビーイングの度合いが高い傾向にあることが確認されている。研究ではまた、社会的なウェルビーイング、つまりつながりを感じたり、自分の居場所があると感じたりすることが、信頼と最も強い関連性を示すことも明らかになった。
信頼は恋愛関係やコミュニティの中で育まれるものであり、その最も強い影響がウェルビーイングの社会的側面に反映されるのはまったく不思議ではない。
これら2つの研究結果からは、幸福は信頼を、信頼は幸福を促すためのものであることが浮き彫りになる。良い気分は心を開かせ、心を開けばより強い絆を築くことになり、より強い絆は再び良い気分へとつながる。


