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2025.08.26 13:00

キューリグ・ドクターペッパー、約2.7兆円で欧州コーヒー企業のJDEピーツを買収へ 株価下落

Kevin Carter/Getty Images

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米飲料大手のキューリグ・ドクターペッパーは、コーヒーや紅茶製品を販売するオランダ企業のJDEピーツを約183億ドル(約2兆7000億円)で買収すると発表した。両社の統合後にはコーヒー事業とソフトドリンク事業が分離される計画であり、これは関税によるコーヒー豆価格の上昇を背景とした動きと見られている。

キューリグの発表によればこの買収は現金取引で行われ、同社はJDEピーツの株主に1株あたり37.22ドルを支払う。これは、米国時間8月22日時点におけるJDEピーツ株の終値と比べ、約20%のプレミアムとなる。

買収完了後、統合されたキューリグのコーヒーブランドとJDEピーツのブランドは、新たに上場する独立企業としてスピンオフされる。

一方で、ドクターペッパー、セブンアップ、サンキスト、スナップル、A&Wなどのキューリグが保有するソフトドリンク・ブランドは別事業として残り、こちらも上場を維持する。

キューリグCEOのティム・コーファーがソフトドリンク事業を率い、CFOのスダンシュ・プリヤダルシがスピンオフされるコーヒー事業を率いる。

25日早朝のプレマーケット取引では、キューリグの株価は3.91%安の33.76ドルとなった。一方、アムステルダムに上場するJDEピーツの株価は、この発表を受けて36.40ドルまで急騰し、22日終値から17.33%上昇した。

キューリグ・ドクターペッパーがコーヒー事業とソフトドリンク事業を分離すれば、2018年に実施されたキューリグ・グリーンマウンテンとドクターペッパー・スナップル・グループの統合が一部解消される形となる。当時、キューリグ・グリーンマウンテンはドクターペッパー・スナップル・グループを187億ドル(約2兆7500億円)で買収した。今回のスピンオフは、今年の米国でのコーヒー販売の減速や、長引く関税の影響を受けた結果とみられる。

両社は、トランプ政権が発効した、ブラジルからの輸入品に対する50%の関税がコーヒー豆価格に影響する可能性が高いと警告している。キューリグ・ドクターペッパーの直近の決算説明会で、コーファーCEOは「関税の影響は顕著になるだろう」と警告した。コーヒー豆価格の上昇懸念を受け、キューリグは6月に「Price Lock Event」と呼ばれるキャンペーンを実施し、顧客に自動配送サービスへの加入を促し、2025年末まで価格を「固定」するよう呼びかけた

また、JDEピーツCEOのラファエル・オリベイラは先月行われた四半期決算説明会で、トランプ関税のために米国での価格引き上げを迫られる可能性があると述べた。ただし、その関税が同社に与える直接的な影響は小さいとも付け加えている。オリベイラによれば、ブラジル産コーヒーは同社の使用量全体の30%未満にとどまるという。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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