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2025.09.01 12:30

真のイノベーションは、日常の見直しから始まる──きっかけをつかむ「4つの方法」

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ありふれた瞬間と、「これで十分」の呪縛

絶大な影響を及ぼす革新的変化の多くは、日常生活のありふれた瞬間に宿る。食事や睡眠といった活動は、エキサイティングではないし、最新の技術革新と違ってニュースバリューもないが、こうした活動は、すべての人に関わるものだ。

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こうした分野におけるイノベーションの一例に、Natural Heaven(ナチュラル・ヘヴン)がある。持続可能性にフォーカスした食品メーカーである同社は、「ハート・オブ・パーム」と呼ばれる、ヤシの芽の内側の部分を原料にして、パスタ、米、その他の食品の代替品をつくるという革新的アプローチをとっている。

再生可能なヤシの種類である「ピーチパーム(チョンタドゥーロ)」を使用し、既存の農地だけで栽培し、その他の持続可能な農業慣行を順守することで、同社のアプローチは、資源の浪費と、エクアドルの熱帯雨林への悪影響を最小限に抑えている。また、ヤシの芽は、ヴィーガンフードかつグルテンを含まないため、これを原料とした加工食品は、さまざまな食生活上のニーズをもつ人々から、栄養価の高い食事を手軽に取れる手段として重宝されている。

日常的イノベーションの別の例としては、YETI(イエティ)も挙げられる。ロイとライアンのセイダース兄弟が市場に参入するまで、クーラーボックスは、安価な使い捨てアイテムと認識され、たいていはコンビニエンスストアで購入されていた。セイダース兄弟は、狩猟や釣りに出かけるたびに、クーラーボックスの出来の悪さに不満を覚えていた。こうした経験から彼らは、「これで十分」とされてきた品質に異議を突きつけることにした。

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セイダース兄弟は、ありふれた製品に、本格的なエンジニアリング、回転成形技術、商用グレードの断熱性能を取り入れた。そのようにして誕生したのは、高品質なクーラーボックスだけではなかった。彼らは、ファンたちから熱狂的に支持されるプレミアムなライフスタイルブランドを確立した。そして、日常の問題を鮮やかに解決するソリューションに対して、人々は進んでより高い料金を支払うことを証明したのだ。

日常的イノベーションのためのツールキット

ありふれた日常の中にイノベーションのきっかけが潜んでいるとしたら、個人やチームがそれらを活用するにはどうすればいいだろう? 以下に、実践的なツールと方法を示そう。

1. 「片付けるべきジョブ(JTBD:Jobs to Be Done)」というフレームワーク

顧客が何を利用しているかではなく、どんなジョブ(仕事)を片付けようとしているかに注目しよう。クレイトン・クリステンセンが提唱したこの理論では、顧客は、製品を購入するのではなく、製品を「雇って」ジョブを片付けると考える。朝にミルクシェイクを買う顧客は、ミルクシェイクを「雇う」ことで、長く退屈な車での通勤を楽しめるものにしようとしているのだ。

こうした「フレーミングの転換」は画期的だ。「顧客はこの製品を、どんなジョブを片付けるために雇っているのだろう?」と問いかけることで、製品の特徴やスペックを超えて、ニーズと結果の領域に踏み込むことができる。

マットレスのオンライン販売を手掛けるCasper(キャスパー)は、単にフォームマットレスを販売しているだけではない。キャスパーは、片付けるべきジョブ(JTBD)理論に基づいて、自社製品が雇われている理由は、「面倒なショールームでのやりとりを抜きにして、苦労せずに快適なベッドを自室に導入する」ためであることを突き止めた。そして、単なる製品だけでなくこのジョブを主軸に据えることで、製品とビジネスモデルの転換を果たしたのだ。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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