2025年8月25日発売のForbes JAPAN10月号は「30 UNDER 30」特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで『Forbes JAPAN』では18年より開催し、7年間で総計300人を選出してきた。
今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。ENTERTAINMENT&SPORTS部門の受賞者のひとりがアーティストのAyumu Imazuだ。
14歳で異国にわたり、アーティストとして研さんを積んできたAyumu。作詞作曲編曲にコレオグラフまでこなすその才能を、世界が待っている。
2023年10月、TikTokにアップした「Obsessed」のデモ音源がバイラルヒットした。肩肘張らない恋心をつづった歌詞とチルな振り付けがZ世代に届き、日本や韓国のアイドルがこぞってダンス動画をアップしたことで一気に拡散。BillboardJAPANの国別チャートで韓国で5週連続首位、タイで最高2位などアジア各国のチャートを席巻した。
作詞作曲からコレオグラフまで行うマルチアーティスト・Ayumu Imazuにとってこれは大きな飛躍になった。ただ、その才能が注目され始めたのは幼少期から。着実に「グローバルアーティスト」への道のりを歩んできたのだ。
始まりはダンスで、6歳のころに両親の薦めで地元大阪のダンススクールに入学。8歳からはボーカルレッスンにも通った。「幼いころのモチベーションは競争心。発表会でセンターに立ちたい、他の人より目立ちたいという気持ちで続けていました」。アーティストのMVへの出演やライブツアーへの同行などキッズダンサーとして業界内で頭角を現していたが、大きなステップアップにつながったのが14歳の時に受けたオーディション。「世界で通用する日本人アーティストの育成」を目的としたこのプロジェクトに見事合格し、3年半の育成プログラムに参加するために単身ニューヨークにわたった。
アーティストとしての基盤は、この街で育った。「ある時、歌の先生に『君にとって、歌うとはどういうことなの?』と尋ねられたんです。その時、僕は答えられなかった。それからはじめて『自分はなぜ歌って、踊っているんだろう?』と心に問いかけるようになりました。ダンスや歌のことがちゃんと好きになったのは、留学がきっかけです」。
留学中には、3度アポロ・シアターの舞台に立った。同所はマンハッタンのハーレムに位置し、アフリカ系アメリカ人音楽文化の中心的劇場だ。Ayumuはそこで地元の観客からのアジア人に向けた厳しい目線を感じ、土地に根付くR&Bやソウルの歴史と熱量を突き付けられたという。
「日本人の自分がいくら練習しても、本場のリズムやグルーブ感には勝てない。マネをしても仕方がないんだと気づきました。“開きなおり”に近いのかもしれないけれど、その時“人種に縛られずに自由に解釈できる美しさをもった、自分らしいポップミュージックをつくろう”と思ったんです」



