台湾のビリオネアの郭台銘(かくたいめい、英名 テリー・ゴウ)が支配する世界最大の電子機器の受託生産企業、フォックスコン・テクノロジー・グループが、1000万ドル(約14億7000万円)を香港拠点のロボットスタートアップ、Robocore Technology(ロボコア・テクノロジー)に投資を行った。
ロボコアの8月20日の発表によると、この1000万ドルは同社のシリーズDラウンドの最初のトランシェ(出資金)で、フォックスコンは2026年と2027年にそれぞれ1000万ドルずつ、追加の2回の出資を行うオプションを持っている。フォックスコンは、この初回の出資にあたりロボコアの評価額を1億5150万ドル(約224億円)として6.6%の株式を取得した。
ロボコアは、フォックスコンによる残りの出資についての評価額は、双方の合意もしくは第三者による査定に基づいて変更される可能性があると述べている。これまでの同社の出資者には、アリババの元最高技術責任者(CTO)のジョン・ウーが共同創業したシンガポールのヘッジファンドFenghe Groupや、中国の電気自動車(EV)メーカーNioやスターバックスの競合、ラッキン・コーヒーなどをポートフォリオにもつ中国のベンチャーキャピタル、Joy Capitalが含まれる。
フォックスコンによるロボコアへの資本注入は、同社のロボット分野における最新の投資だ。正式名称を鴻海精密工業とする同社は、米国の人工知能(AI)チップ大手エヌビディアがヒューストンで建設した工場に、AIサーバーを製造するヒューマノイド(人型ロボット)を導入するための協議を進めていると、ロイターは6月に匿名筋の話として報じていた。フォックスコンはまた、深圳に拠点を置くUBTech Roboticsと提携し、自社工場にヒューマノイドを導入している。
33カ国でロボットを販売
2018年にエンジニア出身のロイ・リムによって設立されたロボコアは、創業当初は車輪付きアシスタントロボットを手がけるイスラエル企業Temiの香港における唯一の販売代理店として事業を始めたが、昨年、Temiを買収していた。ロボコアは現在、医療や教育、ホスピタリティ、不動産管理、展示会などの業界向けに、米国や中国、日本、韓国、スペインを含む33カ国でロボットを販売している。
同社はまた、自社製ロボットだけでなく、他社製ロボットの監視も可能にするソフトウェアプラットフォームを運営しており、その対象には、紅杉(HongShan)の支援を受けるPudu Roboticsやソフトバンクが出資するGausiumなどの清掃に特化したロボットも含まれている。
「当社のロボットは、イスラエルの軍事テクノロジーを基盤としたもので、この分野でトップレベルのアルゴリズムを搭載している」と、ロボコアのCEOであるリムは電話インタビューで語った。「我々は複数のロボットのプラットフォームを実際に展開することに成功した唯一の企業だ。現在、企業がロボットを調達する際には、複数のブランドを組み合わせることを条件にした数百万ドル規模の入札が行われている。そのため、当社のプラットフォームを利用することで、そうした大規模入札を勝ち取れるようになる」と彼は続けた。



