(4)競合と戦うグーグルの強化
クラウドAI市場でサービスを提供するグーグルは、強力な競合と対峙している。アマゾンウェブサービス(AWS)はクラウドの代名詞であり、現在ではAWS Bedrock(AWSベッドロック)を提供し、利用者がOpenAI、DeepSeek(ディープシーク)、Anthropic(アンソロピック)などトップモデルを選択できるようにしている(AWSはAnthropicの初期からの支援者だ)。
しかし、この新しい契約はグーグルのAIクラウド事業を後押しし、契約発表後に同社の収益が32%増加したと伝えられている。
(5)継続性はどうか
もう1つ注目すべきは、特に中小の顧客が、新しいAIの提供を含めたグーグルのクラウドサービスをどう評価しているかである。メタにとってサービス廃止を心配する必要はないと思われるが、Redditなどでは競争環境の中でグーグルクラウドが「長続きするのか」や、グーグルがサービスを非推奨化するかどうかを懸念する声がある。グーグルの公式文書には、同社サービスが廃止の対象となる可能性が明記されているものの、すぐに廃止されることや、グーグルがサービスを次々と変更して小規模顧客を切り捨てることを意味するわけではない。
(6)サービスの多様性
メタとの契約に関係なく、グーグルは単に計算資源を大量に提供するだけの会社ではない。Google Cloud Platform(GCP)は、サーバーレスのデータウェアハウスBigQueryや、多次元配列を扱うオープンソースの機械学習フレームワークTensorFlow、Kubernetesエンジン、オブジェクトストレージといった機能サービスを提供し、AWSのエコシステム型アプローチに対抗している。
グーグルのAI関連のサービスには次のようなものがある。
・Vertex AI(バーテックスAI):機械学習モデルの構築・学習・展開・管理を一元的に行えるMLOpsツールを備えた統合プラットフォーム
・Generative AI Studio(生成AIスタジオ):プロンプトとカスタマイズを用いて生成AIモデルを作成・微調整・展開するためのVertex AIのツール
・Speech-to-Text / Text-to-Speech(スピーチ・トゥ・テキスト/テキスト・トゥ・スピーチ):音声認識と音声合成のためのAI API
・Vision AI(ヴィジョンAI):機械学習を用いて画像や動画を解析し、物体、文字、顔、視覚パターンを検出するクラウドサービス
これらの多様なサービスは、グーグルがAWSやマイクロソフトと並んでAIクラウドの有力企業であり続けることを支えるだろう。
この契約が注目されるのは、その規模の大きさに加えて、かつて米国の5大テック企業を指す頭字語FAANGに含まれていた2社が関わっているからでもある。このリストは、株式市場で王者となったエヌビディア(NVIDIA)などの台頭により変化したが、メタとグーグルは依然として2大巨頭である。今後の動向に注目したい。


