「すでに起こった未来」からパラダイムシフトをつかむ。独自の理論でユニクロをはじめとする日本企業の「強み」をいち早く言語化した投資家・阿部修平(スパークス・アセット・マネジメント代表)。スパークスの「宇宙フロンティアファンド」を話題に、これからの宇宙投資を考える。
藤吉雅春(Forbes JAPAN 編集長):すでに起った未来――たとえば日本における少子高齢化が確実→工場従業員が減る→生産体制を維持するためには一定の自動化が必要→ロボティクス需要が増える――といった、確実な未来から先を見通すということでいえば、宇宙分野は「すでに起こった未来」を映す最たるものだと思います。ここからは「宇宙フロンティアファンド」のお話を聞かせてください。
出路貴規(スパークス・アセット・マネジメント取締役 次世代成長投資本部長):もともとは2017年に「未来創生ファンド」の枠組でispace(2010年設立。日本発の月面探査・資源開発スタートアップ)への投資を検討していたんですが、「宇宙を手掛けるのは時期尚早では」と複数のLP(リミテッド・パートナー)さまから反対がありまして。そこで阿部が「だったら未来創生の投資家の承諾をいただいたうえで、スパークス本体で投資させてもらおう」と言って、ispaceに投資し始めたのが2017年です。
阿部修平(スパークス・アセット・マネジメント代表):次のフロンティアは宇宙だ、というのは強く思ったんです。人類って有史以来、ずっと地べたにいる存在で世界を2次元でしか把握できなかったわけです。こっちの地べたからはるか向こうの地べた、つまり地球の裏側をリアルタイムで見ることはできなかった。けれど宇宙という視点をもつことで、初めて3次元で世界を見ることができるようにったわけです。問題は宇宙ビジネスって資本集約性が高い分野なんですよね。
藤吉:初期投資が非常にかかるという意味ですよね。
阿部:そう。ロケットを1回上げるのに何十億とかかる。けれど地球の裏側をリアルタイムで見るには、衛星をたくさん打ち上げなきゃしょうがない。だいたいSAR(小型合成開口レーダー)衛星だったら最低でも16個必要で、それだと各エリアを30分おきに見られる。30個なら15分おきということになります。まずは地球を3次元で見ることができるようになって初めて、その先に月探査とか火星への移住という話が出てくる。そこで我々が投資を通じて、その前段から挑戦しようということになったわけです。



