宇宙産業を「3つの投資仮説」から考える

阿部修平 スパークス・アセット・マネジメント代表

宇宙と金融の両利き人材

阿部:もうひとつ、こういうファンドを立ち上げた意味があったな、と思うのは、宇宙へのオタク的な情熱をもった人材がたくさんウチに集まってくるようになったことなんです。今、ウチにはJAXAから来た人もいますし、三菱重工でロケット開発していた人や、宇宙飛行士を目指している人もいます

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藤吉:多士済々ですね。

阿部:自分の専門領域と金融を繋げたいという発想の人が多いですね。だからこういった人材にも「金融アナリストの資格はとれよ」ということは言っているんです。

藤吉:専門領域と金融という“両利き”の人材を育てられているわけですね。確かに投資って学校的な要素が実は大きい気がします。

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阿部:僕なんか、もう入れてもらえないよ(笑)。もともとは大企業にいて、「ここではこれはできないな」と考えて、ウチに来てくれる。実際に何十億円という資金を使ってビジネスを動かしていく点に魅力を感じてくれているんだと思います。

藤吉:確かに金融とか投資の世界からアプローチした方が、宇宙産業が社会に拡大していくスピードは早いかもしれませんね。

出路:結構、大企業のCVC(Corporate Venture Capital:企業が自社資金を使って、外部のスタートアップやベンチャー企業に投資するためのファンド)ではできない案件などを、LPさまからご紹介いただくことも多いんです。トヨタさんからご紹介いただいてる案件は、IRR(内部収益率)も30%近くあって成功しています。

阿部:やっぱりトヨタの技術的なデューデリジエンス(事前調査)って、かなり明確な基準があって、そこをクリアしているということは成功確率も高い。

大企業とスタートアップのセットで見通す

藤吉:こうしてスパークスが手掛けているパラダイムシフトを探す2つのファンド「未来創生ファンド」と「宇宙フロンティアファンド」のお話をうかがっていると、スタートアップだけに注目していてもダメなんだな、というのが改めてよくわかりますね。大企業の経験を活用して一緒に探すことが大事というか。

阿部:まさにその通りで、スタートアップだけを見ていると、議論が偏っちゃうんですよね。本当にパラダイムシフトを考えるなら、大企業も一緒にやらなきゃいけない。

藤吉:大企業とスタートアップのセット、組み合わせで考えるべきなんですね。

出路:例えばユニクロのエアリズムとかヒートテックとかも、ベンチャーだったユニクロが素材開発の大企業である東レと組んだことで生まれた爆発的なヒット商品で、新たな産業を生んだという意味ではイノベーションだったと言えると思うんです。

藤吉:実際に今、手掛けているファンドの中でもそういう組み合わせが生じているんでしょうか。

出路:そうですね。例えば前回触れたenecoatのペロブスカイト型の太陽電池を自動車の屋根に貼れないか、というようなことは具体的に検討されています。

藤吉:これからは「事業共創」の時代だろうと思っているので、こうした取組みはすごく面白いですね。スパークスがファンドを通じてその“橋渡し”をされている。

出路:そこはまさに我々が入るべきところかな、と感じてます。というのも、どうしても大企業からスタートアップに対しては「使ってあげてる」という意識があるし、逆にスタートアップからすると「ちょっと教えたら、ぜんぶとられちゃうんじゃないか」という警戒感があるわけです。その間に我々が入って「この話は対等な話なはずですよね」ということを確認しつつ、必要なら知財とかに強い弁護士にも入ってもらって、お互いがビジネスパートナーとして信頼し合える関係を構築するお手伝いをさせていただいてます。

阿部:まさにシューペンターが「新結合が新たなイノベーションを生む」と言っている通りなんだよね。僕らが「未来創生ファンド」と「宇宙フロンティアファンド」で目指しているのは、ここを拠点にイノベーションを起こして、「あるべき未来」を作っていこうということに尽きるんです。

 

出路貴規 スパークス・アセット・マネジメント株式会社 取締役 次世代成長投資本部長
スパークス・グループ株式会社 グループ執行役員

 

証券会社勤務、起業を経て2007年SPARX入社M&AにおけるFA、ストラテジスト、再生可能エネルギー投資戦略立ち上げ等を経て、2015年からプライベートエクイティ投資戦略を担当

text by Hidenori Ito/ photograph by Kei Onaka

連載

市場の波に乗る12の視点 スパークス代表・阿部修平×Forbes JAPAN 編集長・藤吉雅春

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