宇宙の利用コストは大幅に下がっている
出路:ただ宇宙ファンドといっても最初は全然集まらなかったんです。それが2019年にトヨタさんがJAXA(宇宙航空研究開発機構)と組んで「有人月面探査車(愛称:ルナクルーザー)」計画を発表されてから、潮目が変わってきた。ここから、トヨタさんにも入ってもらって2020年に「宇宙フロンティアファンド」ができたという経緯になります。
藤吉:これでispeceの事業とも繋がったわけですね。
出路:その通りです。ファンドを立ち上げるにあたっての投資仮説があって、ひとつが「宇宙の利用コストは大幅に下がっている」ということなんです。例えば衛星の打ち上げコストは40年前の10分の1に、衛星の通信コストも15年前の7分の1に下がっています。
藤吉:これはちょっとびっくりするグラフですね。こんなに安くなってるんですね。
出路:そうなんですよ。もうひとつの投資仮説が結構大きくて、「日本の宇宙関連予算は5年前と比べて倍増している」。宇宙関連ビジネスの難しいところって、技術としては面白いけど、お客さんがいないですよね、ということだったと思うんです。けれど今なら、政府がお客さんになってくれる。
阿部:僕らが「宇宙フロンティアファンド」を立ち上げた当時で、NASAとJAXAの予算を比較すると、前者が約226億ドルで後者が約17億ドルですから、JAXAはNASAの13分の1の予算しかなかった。だからこれは民間資本を投入しなきゃいけないというのが、ファンドを立ち上げた理由ですが、政府も本腰を入れ始めたのは大きいですね。
出路:1号ファンド(92億円)の投資先は14社ですが、2025年8月時点でispace、Astroscale、Synspectiv、AXELSPACEの4社が上場しているので、意外と成績がいいんです。とくにSynspectiveは、最先端のSAR衛星を使った地球観測と分析ソリューションを提供している企業ですが、ビジネスの作り方が上手で既に時価総額で1000億を超えています。2024年に設立した2号ファンドからは、2025年8月時点で4社に投資しています。



