欧州

2025.08.25 13:00

ウクライナがロシアの無人機供給網への攻撃激化 脅威を根元から断つ狙い

ウクライナ北東部ハルキウで、ロシアから飛来したシャヘド-136(ロシア名・ゲラニ-2)型ドローン(無人機)の残骸を調べる地元検察当局者。2025年7月30日撮影(Scott Peterson/Getty Images)

過去1年で、ウクライナは攻撃ドローンの能力を拡大した。たとえば、国産攻撃ドローンのひとつである「リューティー」は、最長で2000km離れた目標を攻撃できるようになっている。これらのドローンによって、ウクライナはロシア領内をさらに深く攻撃することが可能になっている。

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6月15日には、ウクライナのドローンが国境から1000km超離れたエラブガのシャヘド工場を攻撃した。映像で現場から炎や煙が立ち上る様子が確認されているが、ロシアメディアはのちに工場でのドローン量産が続いていると報じている。英国人のティム・ホワイトら独立系ジャーナリストは、8月9日にも同じ施設や近くのニジネカムスクへの攻撃があったと伝えているものの、被害の程度ははっきりしない。

シャヘドの主要な組み立て工場は巨大なため、攻撃目標としては難易度が高い。ウクライナはその一方で、シャヘドの部品を供給するサプライチェーン(供給網)のさまざまな結節点(ノード)を狙った攻撃で成果を上げている。

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6月9日、ウクライナのドローンはロシア西部チュバシ共和国のチェボクサリにあるVNIIRプログレス社の施設を攻撃した。この施設はシャヘド向けの電子モジュールなどを製造しているとされ、この攻撃によって一時的に操業停止に追い込まれた。7月4日には、ウクライナの無人システム軍がモスクワ近郊のセルギエフ・ポサードにある応用化学科学研究所を攻撃した。この施設はシャヘドの弾頭を製造しているとされ、攻撃で変電設備が損傷し、施設の稼働が制限された。さらに8月14日には、イランからシャヘドの部品を輸送していたとされるロシアの貨物船がウクライナ特殊作戦軍の攻撃で破壊されている

一連の攻撃は、ロシア国内のほかの産業基盤に対する攻撃と同様に比較的脆弱な目標に集中しており、シャヘドの生産能力に混乱を引き起こすなど一定の成功を収めているように見える。

使用できる数自体を抑える

シャヘド型ドローンに対するウクライナの戦略は、対テロ戦争時の有志連合軍による即席爆発装置(IED)への対処方法に似ている。有志連合軍は当初、IEDの脅威を軽減するのにジャマー(電波妨害装置)や装甲車に頼っていたが、その後、取り組みを拡大し、反政府勢力によるIEDの生産・配備能力自体を破壊してネットワークを断ち切ることにも力を入れるようになった。この戦略は功を奏し、ウクライナも対シャヘド対策で同様の成果をめざしている。

ウクライナはこれまで、地上配備の防空システムやジャミングなどでシャヘドに対抗してきた。これらは実際に有効でもあったが、ロシア側が適応するのにともない効果が下がってきた。たとえば、ロシアは電子機器を改良してドローンのジャミング耐性を高めた。ウクライナ側は、ヘリコプターや低空飛行するその他の有人機迎撃ドローンなど物理的な手段による防御の拡大を強いられている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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