たった1分で関係を変える仕組み
もしあなたが懐疑的な人なら、60秒で本当に違いが生まれるのかと思うのは自然なことだ。だが、心理学的にも生物学的にも答えは「イエス」だ。その理由を以下に挙げる。
・儀式はあなたの「感情の銀行口座」に確実に「入金」する:恋愛研究家ジョン・ゴットマンの数十年にわたる研究によると、日々の小さな交流や相手に「向ける」瞬間こそが、愛の発展に貢献するのだという。ポジティブなやり取りはあなたの感情の銀行口座への預け入れとなり、一方、パートナーを無視したり見下したりすると預金は引き出される。一緒にいるカップルは、常に引き出しよりも預け入れを多く行っており、ゴットマンが提唱する、ネガティブなやり取りを1回するごとにポジティブなやり取り5回という「魔法の比率」に則っていることが多い。1分間のつながりの儀式は少なくとも毎日1回の預け入れを保証し、口座に常に預金がある状態を維持するのに役立つ。困難に直面したときの回復力も構築する。
・つながりを求めるシグナルを見逃さないようにする:ゴットマンはこのシグナルを「感情的コミュニケーションの基本」と表現している。これは、カップルが1日に何十回も行う、注意や愛情、サポートに対する小さな要求のようなものだが、微妙なものであることが多い。ゴットマンの愛情に関する研究では、一緒にいるカップルは86%の確率でお互いのシグナルに反応したが、離婚したカップルでは33%しか反応しなかった。シグナルが無視されたり拒否されたりすると憤りや距離が生まれる。1分間の儀式を行うことで、毎日少なくとも1回は、つながりを求めるシグナルに気づき、それに応えることになり、断絶による緩やかなすれ違いから関係を守ることができる。
・1分間の儀式は持続可能かつ強力:1分間の儀式が効果的なのは、それが「小さな習慣」だからだ。失敗するほどのものではないが、関係に対する心の持ちようを変えるには十分強力だ。心理学者バーバラ・フレドリクソンの研究によると、愛のようなポジティブな感情の「小さな瞬間」さえ、私たちの心のゆとりを広げ、長期的な関係のリソースを構築して身体と脳を変えることができる。1分間の儀式ではそのような瞬間を毎日少なくとも1回持つことになり、愛を一時的な感情から一貫した実践へと変化させる。
1分間の儀式を実践しているカップルはさほどイライラせず、喧嘩をしても早く仲直りすることが多い。その過程で親密さは自然に深まる。


