宇宙

2025.08.26 10:30

観測史上最大級、太陽の360億倍「極大質量ブラックホール」を新たに発見

「宇宙の馬蹄」重力レンズ系をハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像。背後のはるか遠方にある青色の銀河からの光が、手前にある赤橙色の銀河の巨大な質量によって生じた時空の歪みで曲げられて馬蹄形のリングを形成。赤橙色の銀河の中心に、新たに検出された極大質量ブラックホールがある(NASA/ESA)

「宇宙の馬蹄」重力レンズ系をハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像。背後のはるか遠方にある青色の銀河からの光が、手前にある赤橙色の銀河の巨大な質量によって生じた時空の歪みで曲げられて馬蹄形のリングを形成。赤橙色の銀河の中心に、新たに検出された極大質量ブラックホールがある(NASA/ESA)

観測史上最大の質量を持つ可能性のあるブラックホールを、天文学者チームが検出した。このブラックホールは、宇宙の馬蹄(Cosmic Horseshoe)と呼ばれる銀河内で見つかった。この銀河は現在知られている最大級の質量を持ち、周囲の時空を歪めているため、そこを通る光がリング(円環)状に近い像を形成している。

重要な事実

今回新たに発見されたブラックホールは、太陽約360億個分の質量を持つ。これは、銀河系中心に位置する超大質量ブラックホール「いて座A*(Sgr A*)」の約1万倍に相当する。

宇宙に存在できる理論的な上限に近い規模の超巨大ブラックホールだ。

ブラックホールの母銀河である宇宙の馬蹄銀河の巨大な質量によって歪められた時空を、背後にある銀河の光が通ることで曲げられ、大きな馬蹄形のアインシュタインリングを形成している。このブラックホールは約50億光年の距離にある。

大質量ではあるが、休眠状態にあるようだ。このブラックホールを検出できたのは、周囲の恒星に及ぼされている莫大な重力の作用のおかげだ。

宇宙に存在する銀河には全て中心に超大質量ブラックホールがあり、大型の銀河ほどより大きな超大質量ブラックホールを持っていると、科学者は考えている。

「宇宙の馬蹄」銀河とは

記録史上最大級の質量を持つ銀河の1つである宇宙の馬蹄銀河は、米ニューメキシコ州にあるスローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)計画の望遠鏡の観測データを用いて2007年に最初に発見された。後にこの銀河をNASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)で撮影した画像のキャプションでは、銀河系の約10倍の質量を持つと説明されている。

宇宙の馬蹄は、アインシュタインリングの典型的な一例だ。物理学者アルバート・アインシュタインが予言したように、質量によって時空が歪められることにより、地球から見て手前にある銀河がレンズとして機能し、背後の銀河を拡大している。光源とレンズと地球が一直線に並ばなければならないため、非常に珍しい現象となっている。画像では、青色の馬蹄形をしているのが遠方にある銀河で、その中の赤い銀河が手前に位置している。天文学者にとってより興味深いのは、青い馬蹄形の銀河だ。なぜならこの場合、137億年前に宇宙を生成したと考えられるビッグバンから約30億年後に形成された、より古い銀河だからだ。

重力レンズ効果の説明イラスト。左の遠方天体から発せられた光が、中央の大質量天体によって歪められた時空を通ることで曲げられ、右の地球(Focus)に到達している。その結果、遠方天体が複数の像に分かれたり、円弧(アーク)状や円環(アインシュタインリング)状に見えたりする(NASA)
重力レンズ効果の説明イラスト。左の遠方天体から発せられた光が、中央の大質量天体によって歪められた時空を通ることで曲げられ、右の地球(Focus)に到達している。その結果、遠方天体が複数の像に分かれたり、円弧(アーク)状や円環(アインシュタインリング)状に見えたりする(NASA)
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翻訳=河原稔

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