欧州

2025.08.25 08:30

クリミア半島は本当にロシア「固有の領土」なのか? 複雑な歴史を振り返る

ウクライナ南部クリミア半島ヤルタ近郊の観光名所「ツバメの巣」。2014年9月29日撮影(Getty Images)

ウクライナ南部クリミア半島ヤルタ近郊の観光名所「ツバメの巣」。2014年9月29日撮影(Getty Images)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は18日、欧州の首脳らとともに、米ホワイトハウスで同国のドナルド・トランプ大統領と会談した。会談では、ウクライナ侵攻を終結させる手段や平和構築の必要性などが協議された。

トランプ大統領は会談に先立ち、自身が創設したSNSのトゥルースソーシャルに、ウクライナが2014年にロシアに一方的に併合された南部クリミア半島の領有権を取り戻すことはないだろうと投稿した。これに対し、ゼレンスキー大統領は、同半島は依然としてウクライナの不可分の領土の一部だと反論した。

クリミア半島の将来を巡る意見の相違はあったものの、ホワイトハウスでの首脳会談は友好的な雰囲気の中で行われた。欧州とウクライナは会談の中で、ウクライナに対する安全を保証することが重要だと強調した。トランプ大統領も、米国がウクライナの安全の保証に協力する意向を示したが、どのように保証するのかは会談中に明言しなかった。欧州とウクライナはまた、戦争の終結方法に関する正式な会議が開催される前に、ウクライナでの停戦が必要だと訴えた。

会談を終えたトランプ大統領の次の目標は、ウクライナとロシアとの三者会談を開くことだ。ゼレンスキー大統領は記者会見で、三者会談の開催を支持すると表明した。だが、実際に三者会談が開催されるのか、またいつ開催されるのかは明らかになっていない。ロシアが占領するウクライナ南部クリミア半島と東部ドンバス地方が、今後どのように処理されるのかも依然として不透明だ。

クリミア半島の歴史

クリミア半島はウクライナ南部に位置するダイヤモンド型の半島で、黒海に面している。面積は約2万6000平方キロに及ぶ。

過去何世紀にもわたり、住民は黒海を利用してトルコなどの近隣諸国と交易し、繁栄してきた。13世紀になると、モンゴル帝国のキプチャク・ハン国がクリミア半島に勢力を伸ばした。キプチャク・ハン国は地元のスラブ民族と交流し、トルコ系をはじめとする黒海沿岸のさまざまな民族と交易関係を築いていった。

このモンゴル系民族が支配する地域は15世紀半ばまでにクリミア・ハン国へと発展し、政治、文化、宗教の面で、近隣のトルコ系やイスラム系の民族の慣習を取り入れていった。クリミア半島の住民はイスラム教を宗教として受け入れ、トルコ系の言語を話した。その後、トルコ系言語とイスラム教を共有するオスマン帝国と関係を結ぶようになり、クリミア半島の住民はクリミア・タタール人と呼ばれるようになった。クリミア・ハン国はオスマン帝国の保護領となり、交易関係を結んで発展した。オスマン帝国は黒海への出口を得る見返りに、クリミア・タタール人を軍事的・政治的に支援した。

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翻訳・編集=安藤清香

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