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2025.08.25 08:00

米国株の「AIバブル」はいつまで続くか その特異性と読み解き方

JRdes / Shutterstock.com

バブル仮説を検証する方法のひとつは、資産価格バブルには共通の投機サイクルがあるというキンドルバーガーの理論に当てはめてみることだ。キンドルバーガーによれば、バブルはたいてい、技術革新(たとえば鉄道)、金融政策や市場構造の変化、あるいは成長の「奇跡」(香港からアイルランドまで、いわゆる「タイガー経済」はすべてブーム・バスト(好不況)のサイクルを経験している)から始まる。こうした新しい潮流に投資家は資金を注ぎ込み、やがて資産価格が上昇し、「熱狂」をめぐるナラティブ(物語)も生まれ出すと、さらに多くの投資資金が流入することになる。

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その結果、金融部門や経済全体の制約が緩まるものの、この頃には投資家の陶酔感がいよいよ強まり、さらに投機を呼び込むなかで、資産価格は信じがたいほどの高さに達している。だが、ある時点で天井を打ったあとに下落に転じ、トランプで作った家が崩れるように暴落する。とくに、高い資産価格を担保に家計や企業が借り入れをしている場合、崩壊は決まってさらに大規模なものになり、それによる経済全体への連鎖的な影響も必然的に大きくなる。

キンドルバーガーのこの本から引き出せる教訓のひとつは、発明や経済政策の緩和など「新しいもの」は往々にして新たな投機バブルの火付け役になり、そこに十分な投機資金が流れ込むとバブルがたきつけられ、ひいては金融システムを不安定にしかねないということだ。

AI(人工知能)はそうした新しいものの好例だ。参考までに挙げれば、米銀モルガン・スタンレーはAI関連インフラ(データセンターや電源など)に向こう3年で3兆ドル(約440兆円)規模の資金が投じられると推計し、うち約半分は大手テクノロジー企業のキャッシュフローから、残りは信用市場から賄われると見込んでいる。米マイクロソフトから米エヌビディアまで、大手テクノロジー企業がこのブームの牽引役であることは明らかであり、とくに西側の大半の国は財政面で脆弱なだけに、その存在感はさらに際立っている。

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この点で、直近の決算シーズンは示唆に富んでいた。2000年ごろの「ドットコム・バブル」が典型だが、バブル期には、そのバブルに関連した企業利益は「見込み」だったり、何らかのかたちで水増しされたりしていることが少なくない。ところが、現在の大手テクノロジー企業の場合はそういうわけではなく、総じて非常に好調な利益を報告しており、これはバブル論を和らげる一因にもなっている。

問題は、大手テクノロジー企業による資本的支出の循環性だ。たとえば米メタはデータセンターや半導体に積極的に投資し、現金残高を減らしている。この意味で、大手テクノロジー企業はAIの競争で優位に立つために大胆な賭けに出ているわけだが、これは一点集中型の、もしかすると自社の存続を左右する賭けだと言える。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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